◆◇ 海流・気流 ◇◆
港湾空港タイムス 第1112号  2008/6/23


 厚労省の諮問機関である医療審議会は、再び医者を増やす方向を答申に盛り込んだ。現今においても医療・看護を中心とする社会保障制度を維持するために国が潰れようかという時に、さらに医者を増やしてどうしようというのだろうか。医者が増えた分の経費・費用を誰に負担させようというのか。医療の現場がどうなっているかを端的に示すデータがある。今の日本の保険医療費、年間約30兆円のうち柔道整体士(柔整)、いわゆる骨接ぎ医療費は約1オの約3,000億円の医療がかかっているが、京阪神地区では医療機関からの保険請求のうち、約8割が1人の患者が3箇所を治療したことになっている。一方、岩手県など地方都市ではこの割合は2割程度である。この違いは何かというと、要するに本来保険の利かない五十肩などの肩こりをも捻挫などの保険の利く病名に付け替え、3箇所(4箇所以上になると説明が必要になる)治療したことにして保険金を請求しているということだろう。これはたまたま整体医療の錬金術の一例だが、他にも事務監視の目がある大手病院が潰れて個人経営の病院が潰れない不思議など、医療を巡る不合理は山のようにある。また家庭の抽斗には貰ったまま使いきれない薬が積もっているように、日本の医療制度充実のあまり患者が医療費に無関心すぎるということもある。  今後、わが国は高齢化が進み、医療にかかる割合も増えてくるだろう。しかし間違ってはならないのは、老化と病気とはまったく別物だということである。老化することを病気治療と捉えると、いくら予算を増やしても追いつかない。その前に国が無くなってしまう。




発行元:株式会社都市計画通信社
HP:http://www.cpna.co.jp

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