リサイクルに対する基本的な内容についてご紹介します。
 

○行政の取り組み

戦後の急速な高度成長により技術は豊かな富を我々にもたらしましたが、その背景には大量生産・大量消費・大量廃棄と資源の消費を前提とした経済システム、経済運営があり、様々な問題を引き起こしました。わが国の廃棄物行政に関わる国や自治体・事業者はこれらのシステムの抱える欠陥を是正する必要性についての認識がなく、根本的な問題解決を避け、各種廃棄物処理施設の整備や発生した廃棄物の機械的な処理に努めるだけの対処療法的な対応が繰り返されてきました。しかし、80年代末頃に地球環境問題がクローズアップされると環境問題への関心が一挙に高まり、廃棄物の様々な状況が徐々に明らかにされ大きなゴミ問題へと発展しました。ゴミ行政のあり方が問われる中で、現在は関係各省庁が「循環型社会」の構築に関する検討を進めています。


○我が国のリサイクル現状

我が国の全国で排出される一般ゴミ、産業廃棄物の排出量は年々増加しており、中でも一般ゴミはその約7割が焼却処理されています。その率は他国に比べ非常に高い数値となっており、特にプラスチックゴミの焼却量が多く、深刻なダイオキシン公害を生じています。一方産業廃棄物は年間約4億トン排出されており、公害問題とともに埋め立て処分地の不足など、大きな問題となっています。

日本のリサイクル率は1996年度一般廃棄物で9.9%、産業廃棄物で37%とドイツ等に比べて著しく低くなっています。1997年度の主な品目別・種類別では、タイヤ、鉄鋼スラグ、板ガラス製造業の磨き砂汚泥のリサイクル率は高く、反対にペットボトル、ニカド電池、発泡スチロール製魚箱および家電製品梱包材、科学繊維製造業の汚泥などはまだ低率となっています。「容器包装リサイクル法」に基づくリサイクル制度が1997年4月からスタートし、これにより飲料用のビン、缶、ペットボトル及び紙パックを対象としてリサイクルされるようになりましたが、実際分別収集を実施している市町村がまだ少なく、全体のリサイクル率は極めて低いのが実状です。


○今後の課題

 健全な物質循環を確保するための社会システムを構築するに当たっては、次のような考え方に沿って様々な政策手法を組み合わせることが適当。     

(1)廃棄物・リサイクルに関する目標の設定
 全ての主体がそれぞれの役割分担のもとに取り組み、社会全体として環境負荷を低減していくための目標(廃棄物の量や有害性に関する発生削減量、リサイクル達成、最終処分削減量等に係る数値目標等)を設定することが必要。

(2)各主体の創意工夫が活かされ、市場原理を活用した柔軟な仕組みの構築
 廃棄物に係る環境負荷を環境への負のコストとして認識し、これを負担することにより、社会経済活動を進める中でこれを低減し、適切な役割分担のもと、市場原理を活用した効率的な環境負荷の低減を確保することが必要。このため、直接的手 法と自主的取組の相互の連携・補完などを通じて様々な手法を適切に組み合わせた柔 軟な対応が必要。

(3)物質循環全体を見渡した上流対策の強化
 使用済み製品に係るライフサイクル全体を見渡しての上流(製造・加工等の過程)における対策の強化など、健全な物質循環の促進のための上流対策の強化が必要となるとともに、上流での再利用の促進のための効率的、安定的な再生物等の供給の確保も必要。

(4)適正処理の確保のための措置
 適切な対象物の範囲等を踏まえた、各種環境汚染や不法投棄等の不適正処理の防止のための規制措置とこれを担保する制度管理・運営体制の充実を図ることはもちろんのこと、健全なリサイクルの促進のための規制や、地域性に応じた適正処理確保のための中間処理・最終処分施設整備の推進等も必要。

(5)持続的改善を行うためのチェックシステムの構築
 目標達成に向けての様々な活動を評価し、それを踏まえて次の取組に適切に反映させるシステムが必要。

 これらの手法をシステムに組み込むに当たっては、上記の基本的な考え方を踏まえ、対象物の特性、社会における生産から流通(国際的な流通も含む)、消費、廃棄に至る流れの現状とそれに関わる主体などに応じて、様々な手法を適切に組み合わせることにより、健全な物質循環を確保するための社会システムを構築することが必要。

【健全な物質循環の確保のための手法の例】

a、誘導的手法・自主的取組(例示)

 ○賦 課 金
  [環境への負荷の高い製品・資材や活動に対して税や課徴金を課することにより、
   環境負荷のより少ない製品・資材の販売・購入や活動に誘導していく経済的な手法。]
 優先的に検討すべき対象として、有害性の高いもの、リサイクルしにくいもの、 採取段階で環境負荷の高い一次資源などが考えられる。なお、素材レベルでの賦課については、製品レベルでの内外の競争条件をも変えてしまい(原材料コストの格差)結果として有利な輸入製品に需要が偏るおそれがある、という指摘もある。

 ○デポジット制度
  [製品販売時に購入者から一定の預り金を受け取り、その購入者が使用済み製品を回収場所
   まで持ち込めば預り金を払い戻すことにより、回収場所まで持ち込むことを経済的に誘導
   する制度]
 散乱ごみの原因となりやすいもの、塵芥ごみと混入しやすいもの等が優先的に検討すべき対象として考えられる。制度の運用に当たっての費用対効果などに関する検討が必要。

 ○売買可能な排出権
  [社会全体で許容しうる排出量を設定し、それを排出者に「排出できる量」(=排出権)と
   して割り振る。割り振られた量以下に排出量を削減すれば、その削減分を他者に売ること
   ができる。逆に割り振られた量以上に排出する場合は他者から権利を購入しなければなら
   ない。このようにして、排出量の削減を経済的に誘導する手法。]
 製造に伴う産業廃棄物(汚泥等)に適用しうるが、排出権の前提となる環境容量の設定が必要。

 ○助成制度(補助金、政策的融資、優遇税制等)
 リサイクル産業の育成や技術開発の促進のほか、リュースなど取組の遅れている分野の促進のインセンティブ(誘因)を与えるうえでの効果的な活用が必要。
 一方で、汚染者負担原則に基づき、当該助成がなければ環境保全が達成できないときや、国際貿易・投資に著しいゆがみを生じさせない場合に限って過渡的期間のみの助成とすべきであり、基盤育成等の目的が達成されたものについては適切に見直していくことも必要。

 ○事業者の自主的な取組
 特に発生抑制や再生原料の再利用促進に当たっては、事業者の創意工夫による柔軟な取組を活かすため、社会システムにおける自主的取組の適切な位置づけも効果的。この際、

 _環境保全の観点からの要請の反映、ただ乗り(*)の防止等の観点から、直接的手法や経済的手法等による裏付けや、自主的取組と行政手法との相互の適切な補完・連携を確保するともに、自主計画の策定等に当たっての透明性の確保や行政・利害関係者との対話の確保等により、環境保全の実効性を担保することが必要。
 例えば欧州においては、政府環境行政機関等との協議を経て、環境保全の要請のために必要な水準を達成するための自主協定による取組(ドイツ廃車令等、法令による直接的手法とのセットとなっているものもある)が進んでいる。

b、直接的手法(例示)

 ○適正処理のための規制(基準の設定、業・施設設置許可等)
 環境汚染防止のための規制はもとより、リサイクル可能な不要物について原則的に埋め立てを禁止する等の循環の促進のための規制も考えられる。

 ○原料使用等生産過程における物質の制限
 廃棄物の処分及びリサイクル段階における環境負荷の低減のため、重金属等の有害な物質やリサイクルの阻害要因となる物質の使用(量、用途等)の制限を行う。

 ○製品生産者による使用済み製品の引き取り、リサイクル/適正処理の義務づけ
 製品生産者による使用済み製品の引き取り、リサイクル等は、特に製造・販売段階における取組が製品のライフサイクル全体の環境負荷の低減に最も影響力をもつものについて、製品に起因する環境負荷による外部不経済の内部化の最も直接的な手段であるとともに、環境負荷の社会全体での低減について生産者に対し強いインセンティブを与えることとなる。ただ乗りの排除等について配慮が必要。

 ○再生原料の使用の義務付け
 再生利用のための分別回収や再生(再資源化)処理の取組が進んだとしても、これによって得られた再生原料が資源として再利用されなければ、循環は進まない。特に、市場に任せるのみではこのような再生段階と製造段階とのつながりが確保できない場合に、これをとぎれなくつなげるための直接的手法として再生原料の利用を義務づける手法がある。この際、質(グレード)別に規定し、全体として環境負荷を低減することを目指すことが望ましい。

 ○有害物質/再生資源使用量,リサイクル可能性等の製品への表示の義務づけ
 処理・リサイクルを行う事業者に対する情報提供となるほか、消費者に対するグリーン購入(環境への負荷の少ない製品を積極的に購入すること)の推進の動機づけとなる。有害物質が優先課題であるが、鉄・アルミ等の素材についても情報提供が必要。

 ○製品の構造,材料の規格化
 物質循環の輪に乗りやすい構造・材料を製品毎に指定する。また、部品毎に交換を行うことで発生抑制を進める。大型で材料の相当部分をリサイクルするべき製品や、小型でひとつひとつの製品を分解できないが工業的にリサイクルが可能な製品について不純物を除去することが必要な場合などから適用して行くべきもの。

 ○ライフサイクルアセスメントの企画・設計・製造段階での義務づけ
 自主的取組もあり得るが、公平を期する観点からは義務づけとなる。ただ乗りを許さない工夫、輸出入での取扱に工夫が必要。なお、ライフサイクルアセスメント手法については、内外で研究が進められているが、データベースの整備や評価基準の確立など、引き続き事業者がライフサイクルアセスメントを行うための基盤整備に向けた取組を進めることが必要。

c.その他の間接的手法(例示)

 ○公的機関による再使用品/再生品等の購入,使用
 国、地方公共団体等は市場において大規模な経済主体であることにかんがみ、グリーン購入市場の形成に質するという観点から、率先して再使用品、再生品、有害物質含有量の少ない製品等の調達、使用に努めるべき。

 ○適正処理、再生関連施設の整備
 物質循環を促進するにあたり、環境負荷の低減の観点から、モノの移動距離が過大にならないよう、また適正処理を確保できる規模となるよう、施設の適正な整備と配置が必要である。また、環境汚染防止に配慮しつつ、リサイクルされるもののストックヤードの整備も重要。さらに、現在の技術等の状況ではリサイクルを適切に行い得ないようなものでも、処分するのではなく将来リサイクル可能になるまで保管する、という観点からの施設整備等の体制整備も考えられる。

 ○物質循環の確保のための第三者機関等による証明手続き
 物質循環促進のための取組評価における透明性の確保や行政効率の向上などに質するため、環境管理・監査システムのように、中立で信頼性のある(例えば公的認証を受けた)第三者機関等による取組の評価・証明と、その報告を行政が受けるような仕組みも検討することが必要。

 ○技術開発の推進
 より環境負荷を低減するような高度な無害化処理や再生技術のほか、生産段階における廃棄物の発生の少ない技術、製品の耐久性やリサイクル性の向上、産業関連の中で再利用を進める技術など、物質循環促進のために技術開発の推進が必要。

 ○環境管理・監査システムの普及
 ISO14000シリーズの認証取得が増加しているなど、事業者の環境マネージメントシステムが普及しつつある。事業者の自主的取組の重要性にかんがみ、さらにこの普及を進めていくことが必要。

 ○再生品の品質に関する基準・規格
 再生品を原材料等に利用するに当たり、品質(環境安全性を含む)に関する明確な基準・規格がないことが利用促進の障害になっている場合があることが多く指摘されており、再生品の需要拡大の観点からこのような基準・規格づくりが求められる。また、再生品の環境安全性に関する品質基準・規格づくりに当たっては、競合する一次原料の環境安全性に関する品質基準・規格との整合性にも配慮することが必要である。

(6)廃棄物・リサイクルに係る情報基盤の整備

 各主体の取組の連携の促進と、実施状況のモニタリングによる実状を踏まえた対応を可能とするため、廃棄物・リサイクルに関する質・量の両面からの情報について、その収集・整理・公表のための社会基盤の整備が必要。

1.モノの流れを把握するための情報
 例えばドイツ環境統計法等によるシステムのように、廃棄物・リサイクルに関する排出事業者や処理主体等による情報の行政への報告や一般への公開を進めるとともに、これらの情報を社会的に共有していくための社会システムの整備が必要である。
 特に、廃棄物の排出・処理に関する情報と生産段階での再利用に関する情報のつながりを明らかにして、社会経済活動に伴うモノの流れを正確に把握し、社会的に共有していくための仕組みが必要。

2.各主体の取組を促すための情報
 製品等に係る有害物質の含有量や再生原料の使用量、リサイクル可能性などに関する表示や分別収集に資するための材質別の表示、環境への負荷の少ない製品の推奨リストの提供など、各主体の取組を促すような情報提供の仕組みも有効。
 また、問題の重要性に対する理解や生活における取組を促すという観点から、環境教育・学習などの普及啓発を進めていくことも重要。

3.廃棄物・リサイクルをつなげるための情報交流
 リサイクル促進等のため、リサイクル可能な不要物に関する需給の状況やリサイクル技術等に関する情報の発信・相互交流のためのセンター的機能の充実や、取組を担う人材の育成のための基盤整備なども有効。

リサイクル関連リンク
廃棄物処理、リサイクルの現状と課題、食品、家電、セメント、自動車産業界の取組み、「エコタウン事業」「リサイクル、マインパーク構想」「食品産業ゼロエミッションシステム構想」等各省の動向、さらには、リサイクル技術、溶融固化技術、ガス化溶融技術、RDF発電技術等について広範に亘る動向を取りまとめた解説書を紹介。

 「ゼロエミション対策とその動向」http://ns.toray.co.jp/trc/zeroemi.html
 

不法投棄など産業廃棄物の処理が大きな社会問題になっているが、通産省の産業構造審議会の廃棄物処理・再資源化部会が「産業廃棄物対策の今後のあり方ー産廃問題解決に向けて」を平成10年7月に取りまとめ、1.産廃の減量化・リサイクルの数値目標、2.リサイクル製品購入促進対策、3.適正処理ガイドラインについて取りまとめられた。
 目標年次平成12年度、主要21業種、約50団体、全国産廃発生量(約4億トン)のおおむね1/4に相当、削減率24%となっている。調査原点が平成8年となっているが、今後の展開のマイルストンとしての意義は高い。

「産業廃棄物排出量等の現状及び数値目標の設定状況」
 
http://www.cjc.or.jp/sub_4/HENNSI%20.html
  

建設発生土とリサイクルについて日本リ・ソイル協会が良く纏めています。

http://r-soil.org/index.html