001-「21世紀初の大相場の年となるか」2004/01/21


新年賀詞交換会の挨拶の定番は「今年の景気観を一言申しあげれば。。」である。新春だけに前半高、後半もみ合いとの内容が多い。
 世界一の相場師のご宣沢を紹介。強力援軍の一人がモルガン・スタンレーのバイロン・ウィーンだ。彼はソロスの無二の親友。ソロスが現役を引退後、ファンド・オブ・ファンズに替えた際、その会社の取締役に就任。それほど、ソロスの信任が厚い。バイロン・ウィーンは毎年、年初に「起こりそうもない出来事」として、コンセンサスとはかけ離れた予測をしている。過去19年間にわたり発表を続けてきたが、誰もが思いつかなかった出来事がその後、実際に起こることが多い。彼の今年の10大予測には、日本株の上昇が入っており、日経平均は1万3,000円以上としている。その他、金相場が500ドルを超えるのは確実と見ている。ここ13年間、日本の資産バブル崩壊の過程では、日本株に弱気を続けてきたバイロン・ウィーンが強気の見方をするのだから、心強い限りである。

 いま一つ取り上げたいのは、有力投資銀行のゴールドマン・サックスが、日本株に強気の見通しを出した。これは昨年8月末に続き2度目である。そのレポートには「新しい年がスタートしたが年後半は調整する、すなわち典型的なベアマーケット・ラリーが繰り返される、というシナリオがストラテジストの間で、2004年の株式市場のコンセンサスになっている」と書かれている。<注記:ベアマーケット・ラリーとは、相場のトレンドは
下降でも、中間反騰することを指している。>
 さてゴールドマン・サックスは日本株について「循環的、構造的な理由から、コンセンサスよりも強気のスタンスを維持」としている。世界経済は米国をリード役として、上昇局面に入る。景気循環をドライバーとした、循環的な回復局面である。また日本は、過去13年間にわたる資産バブル崩壊の問題点を、ほぼ解決している。他の国には見られない構造的な好環境である。
<注記:構造的な改善とは、 「設備過剰とデフレの解消」、 「不良債権問題の解決」、 「リストラの進展による最高のROEの達成」
「コーポレート・ガバナンスの向上」 「魅力的なバリュエーション」 を指す。>
特に予想収益ベースで見た、2004年の主要国のPERは、日本14.6倍、米国 18.2倍、英国 13.3倍、ドイツ 14.8倍との見通している。1980年代以降、国際比較で見て常に割高と言われてきた日本のPERだが、ここへきてようやく国際的な視点からも説明がつくようになり、今年の株価の目標値は、TOPIX(東証株価指数)で1,400ポイントとしている。昨年末は1,043ポイントであったので、実に+34.0%の強気の上昇。世界の機関投資家に与える影響力が大きいプロの見方だけに、注目。
詳しくは、「トリトンスクエア通信」
(http://www.max-value.com/stock/ys/index.htm)2004年1月14日発行号を参照。
★ 「図説 マネーの心理学――「儲かる側」の人になる」マネー&ライフ研究会 (著) 三笠書房
「人は合理的である」を前提としない新しい経済学の手引書。「投資の心理学」(リフソンとガイスト編著。東洋経済新報社)。わかりやすく、目からウロコの、マネー本、兼、心理本、が参考になる。
人の心理には、さまざまなバイアスがかかる。そもそも、人は統計的な判断は苦手。しかも、お金や投資の話になると、ほとんど、冷静沈着な判断がまったく困難。 本書は、それらのバイアスを知り、対策を立てることを目的に記述。例題、テスト問題を通じ、自分で確認し自覚できるよう工夫。
対策は、一言でいうと「離見の見」「視点教示」等々。「離見の見」は世阿弥の言葉で、マーケットに限らず、人生のあらゆるところで利用できる考え方。現代的な言い方をすると、自分で自分をモニタリングするということ。
2002年のノーベル経済学賞の受賞者、行動経済学のダニエル・カーネマン教授曰く、
伝統的経済学は「個人も含めた経済主体は市場における全情報を知って、自分の利益や満足(効用)を最大化するように利己的・合理的に行動する」ということを前提に組み立てられてきた。この「合理的」の意味するところは少し注意が必要で、(効用という観点から首尾一貫した行動をとるという意味で、必ずしも経済的利益からみて最適な行動をとるわけではない)が、そういう前提を置くことで、モデル化が容易になり、分析がしやすくなるというのがメリット。
しかし、モデル化を目指すあまり、厳格な前提をおくため、実際の社会現象全体を説明できない弱点があった。経済学はもともと実学であるはずなのが、現場との乖離が起こっていた。文化人類学、社会学、心理学などの知見を積極的に取り込もうという努力も怠ってきた。
もちろん、心理学の知見を持ち込み分析したからとて、すべての現象が説明できるわけではない。カーネマンがノーベル賞を受賞時に「この分野の研究が進めばバブルが起こることがなくなるかもしれない」との解説者がいたが、行動経済学は問題解決の万能の薬などではないとのことであった。

                                           以上


002-「フィンランドには虫歯の子どもがいない。ほんと?」2004/01/27



 第二時世界大戦でソ連に敗れ、戦後は日本以上の虫歯大国であった。歯科医師が不足し、1年に2回新入学生を受け入れて、歯科医師の倍増を図った。国は膨大な歯科医療費に悩まされ、医療費抑制のため国家を挙げての虫歯予防に乗り出すことにした。  
1972年:6歳時より予防を開始。
予防の中心は*口腔衛生指導(食べ物をとるタイミング/ブラッシング)
*フッ素塗布(最初の永久歯が萌出を始める6歳頃までに)
1975年:マキネン教授が、キシリトールの虫歯菌(ミュータンス菌)抑制効果を発見。
1980年:キシリトールガムが民間レベルで導入、国中に普及。
1991年:12歳時のDMFT値が1.2まで低下。
<DMFT値とは…虫歯の経験歯数。ある子供が、現在治療した歯が3本で、新しい虫歯が2本あるとするとこの子供のDMFT値は5となる。>  

1992年:約20年間でその目標を達成し、現在ではDMFT値はさらに低くなっている。

 一方、長年の懸案の歯科医療費抑制については、治療費は減少したが、予防費が増えて全体の半分が予防費となり、その目的は達せられなかった。しかし、多くの国民が健康な歯をもち、質の高い生活を送ることができ満足している。
 また、フィンランドでは19歳以下であれば、う蝕予防については矯正も含めて自己負担なし。
 正しい食習慣とブラッシング指導、フッ素の使用の3本柱に加えて、キシリトール入りガムの使用、これで虫歯が防げることがフィンランドで証明された。フィンランドの12歳児の平均虫歯本数は1.2本、それに対し日本では3.7本とフィンランドの3倍。現在、日本でもガムだけではなく、歯磨剤や洗口剤にもキシリトールが含まれようになり、セルフケアの幅が広がってきている。上手に活用して虫歯の数を減らそう。

< キシリトールとは、白樺から取れる甘味料。甘さは砂糖と同じでカロリーは75パーセント、世界中で糖尿病患者のための甘味料として使用されている。11歳から13歳までのむし歯になりやすい体質の子供に二年間、キシリトールガムを噛ませたところ、噛まなかった子供に比べ虫歯の発生率は三分の一。さらに同じ子供に対する五年後の追跡調査では、すでにガムを噛んでいないにもかかわらず、噛まなかった子供に比べ虫歯の発生率は五分の一であった。>

<キシリトールの作用;ミュータンス菌の特徴は二つ。一つ目は歯の表面にしっかりとくっつく特殊な細菌である。二つ目は口の中に入った食べ物を栄養にして酸を作り、歯を溶かして出来た穴に住み着く。虫歯で出来た穴や、隙間のある詰め物の下で菌は安全に増える。一方、キシリトールも食べ物と同じようにミュータンス菌に取り込まれるが、菌はキシリトールを栄養に出来ない。つまりミュータンス菌はキシリトールを食べれば食べるほど、栄養不足になる。その為、菌は歯につく力を失い、簡単なブラシングで歯から落ちてしまう。さらに酸を作ることが出来なくなるので、歯を溶かしてその表面に穴を開けることが出来なくなる。ミュータンス菌は口の中に住み続けるのが困難になり、虫歯になるリスクは減ってゆく>。

<キシリトールの効能?:キシリトールは糖類に属する天然素材の甘味料で平成9年4月に食品添加物として厚生省認可。シラカバやカシを原料に主にフィンランドで生産。イチゴやラズベリー等の果物やレタスやホウレンソウ、カリフラワー等の野菜などに含まれている。また体内でも肝臓で1日に5〜15g生産されている。その安全性はWHO(世界保健機構)でも認められ、安全な甘味料だ。>


003-中国の経済的発展を伝えるニュースが新聞紙面を賑わしている。2004/02/02


例えば、
1.1人当たりGDPが1000ドルを超えた。
2.日本の輸出において、対中国圏貿易量が飛躍的に増大し、対米輸出量を抜いた。
3.上海港のコンテナ取扱量が世界3位になった。
等々である。

巨大な国であるだけに、勢いがつくと周辺国への影響は予想外のことが起こるかも知れない。昨今の日本の景気が対中国貿易を得意とする企業の業績好調に支えられている面も伺えることから、中国経済の現状を見てみたい。

今回は、中国の発展のおける地域的な集中を検証する。但し、新聞のように最新のデータと言うわけにはいかなかったが、上海の突出振りは確認できた。

(1)成長率の地域的な格差
下の表は1995年と2002年の省別GDPから経済成長率を求めたものであるが、最大値が北京市の1.13で、最小値が広西省の1.06、平均値は1.11である。成長率には顕著な差がないともいえるが、1.13と1.06の差は7年後に1.5倍に拡大する。

地域GDP(億元) 1995 地域GDP(億元) 2002 経済成長
(年率:1995-2002)
北京市
1394.89
3212.71
1.13
天津市
920.11
2051.16
1.12
河北省
2849.52
6122.53
1.12
山西省
1092.48
2017.54
1.09
内蒙古自治区
832.88
1734.31
1.10
遼寧省
2793.37
5458.22
1.10
吉林省
1129.20
2246.12
1.10
黒龍江省
2014.53
3882.16
1.10
上海市
2,462.57
5,408.76
1.12
江蘇省
5,155.25
10,631.75
1.11
セツ江省
3,524.79
7,796.00
1.12
安キ省
2,003.58
3,569.10
1.09
福建省
2,160.52
4,682.01
1.12
江西省
1,205.11
2,450.48
1.11
山東省
5,002.34
10,552.06
1.11
河南省
3002.74
6168.73
1.11
河北省
2391.42
4975.63
1.11
湖南省
2195.70
4340.94
1.10
広東省
5381.72
11769.73
1.12
広西省
1606.15
2455.36
1.06
海南省
364.17
604.13
1.07
重慶市
1024.86
1971.30
1.10
四川省
2509.14
4875.12
1.10
貴州省
630.07
1185.04
1.09
雲南省
1206.68
2232.32
1.09
チベット
55.98
161.42
1.16
キョウ西省
1000.03
2035.96
1.11
甘粛省
553.35
1161.43
1.11
青海省
165.31
341.11
1.11
寧夏
169.75
329.28
1.10
新彊
825.11
1598.28
1.10
全国合計
57623.32
118020
1.11
 

(2)1人当たりGDP

次ページに2001年の値(日中経済協会HPより転載)を載せたが、その値を基に下表に全国

平均と北京市・上海市についての2003年の推定値を(人口は変わらないとして)計算し

た。上海市の数値は全国平均の5倍であるから、やはり同じ国とは思えない高さである。

2001年
2003年
推定値
全国平均
911ドル
1,100ドル
北京市
3,056ドル
3,700ドル

上海市

4,516ドル

5,600ドル




004 窮鳥懐に入る。2004/02/04


出典:願氏家訓 追い詰められて困窮したものが救いを求めてきたら、どんな理由があろうとも助けてやるのが人情との喩え。
(The lion spares the suppliant.)


▼法人税下げよりも研究開発投資促進を!
 最近、研究開発減税・投資減税や金融・証券税制、相続税関係をテーマに議論されると、「税率を引き下げるよりも研究開発投資を促進する税制に重点を、との意見が圧倒的に多い」また、株式の譲渡益課税については株価の低迷に関連し、ドイツが導入しているように一定期間非課税にすべき等税率引き下げを求める声もよく聞かれる。

▼なぜ最近、企業の研究開発投資が利益に結びつきにくいのか?研究開発投資が製品に結びつかないということが問題にされがちだが、本質的には、製品には結びつくが利益に結びつきにくくなっていることが問題との指摘も多い。この理由は、研究開発マネジメント面よりも、企業アイデンティティの不明確さやコア技術の弱さなど経営・事業戦略、技術戦略の問題で、「ロードマップが不備で経営、技術、事業戦略の一体的運営ができていないことも課題」、とくに、「企業アイデンティティ」すなわち、自社としてどのような製品を作るか、どのような製品は作らないかという基準を意味しているが、日本の大企業には総合型が多く、他社横並び的に多種多様な製品を作っていることが、利益率の低さということに結びついていることが背景にある。

▼北米の多くの製造業では、自らリスクを負って研究開発投資を投じるよりも、自社の技術戦略上必要だと判断した技術やライセンス、その他ノウハウは積極的に外部から吸収(買収やアライアンスにより)しようとする傾向が強く、この動向は近年の光通信やIPを中心とした情報通信産業で顕著。

 外部からの技術導入を積極的に実施している北米の製造業では、その技術の事業性、市場有望性、発展方向性などを念頭におき、同時に自社の持つ技術や戦略と照らし合わせながら、常に最新の技術モニタリング(テックモニタリング)を実施し、さらにDCF法(Discount Cash Flow法)やディシジョンツリーアナリシス、リアルオプションなどの技術評価手法を組み合わせ、最終的にCTOの判断を仰ぐ、といった一連の体制が企業内に整っている。

 さらに、ベンチャー企業の買収が盛んで、特にシリコンバレーでは世界中から選りすぐりのイノベーションのタレントが集まっており、おのずと、新規技術に対する評価を専門としたハビタント(目利き役)の需要が自社内外を問わず高くなる環境を生み出し、外部から必要な技術を積極的に獲得出来る土壌を形成している。

 また、自社の研究開発部門だけに閉じこもることなく積極的に外部とのネットワークを活用し、自社にとって有益な技術、ノウハウを取り込める環境を構築することは、研究開発の効率性を高めることに大きく貢献していると考えられている。逆に、むしろ自社内のネットワークや総合的な強みを利用して、研究開発の効率性を高めている企業もある。

▼最近、危機意識から生まれたイノベーションマネージメントとして、「建設技術開発コンソーシアム」が誕生している。

趣旨・目的: 建築・住宅技術に関し、安心・安全で質の高い生活を実現し、良好な環境を保全・創出するなど、国民生活に密着した重要な社会的役割を担っているが、昨今の経済状況などにより、研究費や人材の不足、実験施設・機器の維持管理負担と陳腐化等により、研究環境・体制が不十分。このため、各々の自主性を尊重し、競争的な研究開発環境を損ねないように配慮しつつ、建築・住宅の質や魅力の向上に向けた研究開発資源 (資金、人材、施設、ノウハウ)の重点的・効率的投入を図り、研究開発を活性化することを目的として、新たな協調・連携体制を整備するもの。

 建築研究開発コンソーシアムは、このような競争と連携のネットワークを構築するため、多様な研究機関、企業等の幅広い結集を図り研究開発の共通基盤(プラットフォーム)の確立を目指している。

▼また、“大学知”を社会に還元しようというNPO(特定非営利活動法人)、「ウエアラブル環境情報ネット推進機構」が誕生した。人間が身につけた情報機器と自然界に構築した環境情報ネットワークとを連動させる、さまざまなサービス開発を意図したNPOである。そこには、科学者や医師、学生、企業のエンジニアたちが集い、異分野の視点を融合した、既存の研究スタイルを打ち破るものとなっている。

 こうした新しい「価値創出」を企図した異業種間連合は、多くの地域に台頭してくる。そして、こうしたコンソーシアム活動を、新しいNPO活動、すなわち「科学技術NPO」として明確に位置づけ、発展させていくべきというもで、次世代型の研究開発、新しい価値を創造する技術開発、デザイン開発を、21世紀のNPOは手がけていくべきだと考えている。

 いまや、市民、及び公益主導の研究開発・技術開発のモデルづくりが求められているのではないか。市民自らが、望む技術開発を形にすることは、そのまま社会的ニーズに直結する。革新的・基盤的技術に携わるエンジニア、科学者、熟練技能者が、市民として技術革新のための新組織に集えば、その涵養が組織的に図られ、組織そのものが知的な社会基盤として機能する。

 技術革新をミッションとして掲げたNPOは、超組織性が付与され、さまざまなセクターが在職のままの参画が可能。利益が今すぐには見込めない研究開発、実証実験、試行的ビジネスのテスト組織、インキュベーション組織としても、柔軟性のあるNPOは可能性を内在。流動性が低いわが国では、研究者、技術者の組織を離れた起業には、多大なリスクが伴う。見通しが立つまで、在職のままNPOで活動できる社会状況を確立すれば、起業化の促進にも確実に発展するはずである。

▼科学技術NPOと企業シニアの持続性ある「ものづくり立国」への参加

 そして、直言すれば、こうした技術NPO活動に企業のシニア人材を派遣参画させれば、その活性化につながり、仮に成果を挙げられない場合も、戦略的リストラの受け皿づくりとして現実的な意味も帯びる。今後、特殊法人の設立・存続がむずかしいなかで、ミッションオリエンテッドな技術NPOは、チャーミングな、官僚の天下り先として位置づけることさえできるのである。

情報化社会を成熟させた世界は今後、確実に「頭脳化社会」へと発展していくだろう。頭脳のグローバル化が進展していくなかで、日本が「技術」を担当し、優位性を保つためには、ミッションオリエンテッドな開発テーマを特定し、従来型の政府主導で技術分野への傾斜を強める方法を採用するとともに、競争力のある技術者を育てるためのさまざまな場づくりを行うこと、技術者が自由に事業展開でき、資金やマーケットにアクセスできる環境を整えることが求められている。

そして、市場サイドも、サービス工学やユニバーサルデザイン、テーラーメイド製品を求めていく潮流のなかで、民間、市民型の体制を意識し、技術を重視するコンセンサス社会の創造こそが、持続性ある「ものづくり立国」日本を形にしていくものであろう。


005 OECDの環境政策の推移 2004/02/10


OECD(経済協力開発機構)では,1960年代に入り環境汚染の問題が先進国で注目を集め始めるにつれて,研究協力委員会を
中心に,大気汚染,水質汚濁,化学品による公害等について部分的な検討を始めたが,1960年代の後半に至り,加盟国で環
境問題がインフレーションと並ぶ重要な社会経済問題となったことに伴い,より本格的な検討に向かった。OECDの政策転換
のきっかけになったレポートとして,当時のヴァン・レネップ事務総長が発表した「現代の諸問題一経済成長,環境及び福
祉」(1969年12月)が挙げられる。同報告は,環境問題を経済の量的拡大に伴って生じた外部不経済の問題としてとらえ,
OECDが環境問題を取り上げる観点として,従来の技術的研究アプローチに加えて,資源配分,対策の費用対効果分析,貿易
への影響等,経済的側面についての政策立案に主眼を置いたアプローチがとられるべきことを提唱した。この提案を背景に,
1970年には環境委員会が設置されたが,環境問題への経済的アプローチは,その後一貫してOECDの特色となっており,汚
染者負担原則の確立をはじめとする多くの業績を生み出してきた。

OECDにおける環境問題への取り組みは,国際的な環境問題の動向と加盟国の関心を敏感に反映してきている。1980年代後
半からの地球規模での環境問題への関心の高まりを背景に,1991年1月に開催された第5回OECD環境大臣会合においては,
1990年代の環境保全の3つの戦略として,(1)経済政策と環境政策の統合,(2)各国内及びOECD域内での環境対策の改善,
(3)国際協力の強化が合意された。これを受け,1992年には,各国の政策対話を促進する観点から組織改組が行われ,環境委員会
が環境政策委員会へと改称された。
2001年1月には,わが国の省庁再編のタイミングと合わせるように,環境政策への経済的手法の導入を一層促進するという
観点で環境政策委員会の組織改革が行われた。現在,環境政策委員会は,国内環境政策ワーキングパーティー,地球規模・
構造的政策ワーキングパーティー,環境保全成果ワーキングパーテイー,化学品合同会合等の下部グループとさらに細かい
諸グループを擁し,積極的な作業を進めているほか,他委員会との合同作業部会(貿易と環境,税と環境,農業と環境等)
が設置され,分野横断的な検討が進められている。
環境政策委員会では,環境政策に係る国際調整を図るために必要なガイドラインの作成,加盟国共通の課題の解決や作業分
担に資する分析作業,加盟国同士の同調圧力に関する作業を実施しており,これらの結果は必要に応じて理事会において
OECD決定または勧告として採択されるほか,出版物として公表され世界各地で広く活用されている。
 主なものとして,19
96年に化学物質の排出移動登録制度の導入について勧告が行われたほか,2001年には,環境関連税について先進諸国における現状,実践方法,導
入戦略,課題,将来展望などを包括的にとらえ,その有効性を明らかにした報告書,製品の製造者が製品の使用後の段階ま
で一定の責任を果たすという拡大生産者責任についてのガイダンスマニュアル,2020年までの世界の環境の状況を展望し,将来の環境政策のオプシ
ョンを提示した環境アウトルックが公表され,加盟各国の政策に活用されている。
また,同委員会では,3〜5年に1度閣僚レベルの会議を開催しており,2001年5月に開催された第7回環境大臣会合では,
出席した各国の閣僚によって「21世紀初めの10年間のための環境戦略」が採択された。また,並行して開催された同年の
OECD閣僚理事会には史上初めて環境担当閣僚が参加し,経済閣僚とともに「持続可能な開発」の実現のための方策に関する
議論を行い,今後の方針が盛り込まれた。

排出移動登録制度(Pollutant Release and TransferRegister)
拡大生産者責任(Extended Producer Responsibility)

― OECDレポート:「日本の環境政策」より


006 家計貯蓄率 過去最低の6.2% 2004/02/12


親しき仲に垣をせよ。
心やすく親しい間柄でも礼儀は守らなければならないということ。親しいからといって、礼儀を忘れるとかえ
って不和になることが多いということ。
(A hedge between keeps friendship green)


外貨準備高7千4百億ドルで過去最大%煌t府発表の02年度の国民経済計算(確報)によると、「家計貯蓄
率」は6・2%と、前年度より0・3ポイント低下し、過去最低を更新した。ピークの1991年度(15・0
%)と比べると、8・8ポイントも下がった。

賃金やボーナスが減っても、消費は簡単に切り詰められない。高齢化で、貯蓄を取り崩して生計を立てる世帯
が増えていることも背景にあり、日本経済の新たな懸念材料として浮上している。今後も、年金保険料引き上げ
や増税などが家計を圧迫し、貯蓄率は低下し続けるとの予想が多い。貯蓄率が下がって預貯金が減少すれば、
長期的には、長期金利が上昇し、企業の資金調達が難しくなる可能性も指摘されている。
一方、消費が旺盛で貯蓄率が低かった米国は、同時多発テロ以後の消費の冷え込みもあって、ここ2年で貯蓄率
が1〜2%回復し、現在、5%程度に上昇した。「米国の貯蓄率が日本と肩を並べるか、逆転する」との予測が
出始めた。低い貯蓄率ながら、高い経済成長を続け、世界経済を引っ張ってきた米国は、日本などからの投資で
資金不足を補っている。労働人口の供給も豊富なため、世界最大の消費市場でもあり、ドルが世界のマネーを吸
い寄せている。
最近、急激なドル安を回避するため政府日銀が外国為替市場で介入外貨準備額は7000億ドルとここ5ヶ月連
続で過去最高を更新している。外貨準備のほとんどは、米国債で、特に最近のように10兆円/月規模の介入にも
なれば、@財政赤字の米国の資金調達を支援している、A輸出企業に補助金を出しているようなもの、B金利変
動や米国債の評価損の拡大も懸念されている。
国民が稼いだ所得から貯蓄に回った資金が、米国の投資に回る。かつては、国民の高い貯蓄率に支えられ、企業
が効率的な設備投資で生産を伸ばし、輸出で貿易黒字を稼いできた。「日本はお金をためすぎ」との批判には、
「内需拡大」の名の下に、家計の貯蓄が公共事業に回されてきたが、最近では、日銀保有の国債までが、米国債
にシフトしている。
日本にはストックとして1400兆円の個人金融資産があるため大丈夫、との見方があるが、高齢者の金融資産
取り崩しが急速に進めば、日本経済の成長を支える資金は完全に足りなくなる。貯蓄率は、ほぼ一貫して下がり
続け、今後、15年先には国全体の貯蓄率がマイナスに陥るという推計もある。専門家は「貯蓄率は今こそ直視
すべき問題だが、日本人は危機感に乏しい」と警告している。 目を皿にして注視しよう。


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