第1回
リサイクルソリューションシンポジュウム
詳細報告
6番目講演:『北東アジアから見た日本のリサイクル』
編集注:概要報告は、このホームページ最新情報の5月12日の中にあります。あわせてご覧下さい。本文中にでてくる図表について後日掲載する予定です。


『北東アジアから見た日本のリサイクル』

(財)環日本海経済研究所客員研究員  三橋郁雄


○三橋 環日本海経済研究所というのは、新潟にある北東アジアの研究機関でございます。日本海側には北東アジアにかかわる研究機関がたくさんありますが、その中でもユニークな存在がこの新潟にある環日本海経済研究所です。私は片一方、国際臨海開発研究センターというところの研究員もやっており、2つやっているということです。今日は北東アジアを中心にしたお話をしますので環日本海経済研究所という肩書でお話しさせていただきたいと思います。

 最初に、なぜ私がこのような話に興味を持ったのか、動機についてお話しさせていただきたいと思います。

 私は地域開発にもともと興味がありまして、地方における港湾と空港を活用してどこまで地域の発展が図れるのかということを長年勉強してきた、また実践もしてきたわけです。港湾と空港を通じてということですから、必然的に、世界との交流を通じて地域開発を行うという方法の研究に関心がいくこととなります。


 そこで、近年の世の中は、運輸省港湾局が日本で初めて使用した言葉、すなわち「大交流時代」に入っています。今まで閉ざされていた日本の地方が、面白いように国際航路を増加させる時代となっています。地方の港と空港が、地域における世界との交流の舞台となることが少しずつ現実化してきました。東京にいる皆さんからみると、地方のニュースをマスコミがほとんど流しませんのでなかなかお分かりいただけないかと思いますが、地方におりますと、国際定期海上航路とか国際航空路が開設されることの意義は、非常に大きいということがよく理解できます。このような地方の国際化の試みは採算性が悪いと、よく東京の方から非難されますが、目の前の採算性だけで批判するのは非常にまずいと思います。ほとんどの場合、新しい時代に向けての新しい取り組みでして、将来は、現在の仕組みに変わって新たな日本の仕組みをつくり出す可能性があるものが多いからでございます。

 ところで今、新しい分野の仕事がどんどん立ち上がっています。ソフトバンクやインターネット商売などのコンピュータ関係が非常に目につきますけれども、大交流時代のもう一つの柱は「物流革新」でございます。この分野においても、我々が気づかぬ間に世界で新しいことがいくつも起こっています。


 卑近な例で恐縮でございますが、10年前に私が国際臨海開発研究センターに勤務していた時に、シンガポール政府から「港湾を大きくしたいから長期港湾計画の調査をしてもらえないか」という話が飛び込んできたわけです。結局この話は実現にまで至りませんでしたけれども、昨年12月、ほんのまだ数カ月前ですが、国際港湾協会の新しい事務所開きがこの東京で行われまして、そこにシンガポールの幹部が来ておりました。彼は次のように挨拶をしました。「我々は2年前に民間会社化しました。そして、世界中のコンテナターミナルの運営・管理を受託するという商売を始めました。我々は優れた運営・管理能力を有しておりますので、これを世界中のコンテナターミナルに活用したいと考えております。すでに世界の10の港湾のコンテナターミナルの運営・管理受託をいたしました。イタリア、韓国、中国、インド、イエメン、ポルトガル等々でございます。日本の皆さん、私たちにコンテナターミナルの管理・運営を任せてみなさい。港の近代化が進みますよ」というのが彼の挨拶でした。


 10年間の間にこれほどまで変わったわけです。こういう商売、すなわちコンテナターミナルの管理請負業というふうに我々は呼んでいますが、こういう商売があったんですね。確かにシンガポールは、この15年間の間にコンテナ取扱量を10倍も伸ばしました。しかし、ついに日本の港湾にまで積極的に売り込みに来たわけです。これは全く我々の予想の外でございます。このような新しい時代の到来を象徴する話で、我々にとって予想外という話はまだまだいくらでもございます。

 このシンガポールの話が象徴的なのは、わずか人口 300万人の小国が、世界中にネットワークを張って、世界のコンテナ流動を左右する一角を築いたということです。これから世界各地で「シンガポールの港を使おう」という声が出てくるのではないでしょうか。そうでなくても、世界のナマの物流情報を取得できることのメリットはとても大きいというふうに予想されます。そこから富をつくり出していけるわけです。このことは、新しい時代の源泉は交易、交流、ネットワークにあることを意味しています。また、新しい時代は国土の大きさではなく、交流の大きさで国力が評価されることを意味しています。北東アジアの大国、中国、ロシアは、このことにすでに気がついています。中ロ国境協定を昨年締結し、とかく国民感情を刺激し、交流の障害になる領土問題に終止符を打ちました。今は国境貿易を増加させております。

 シンガポールとか中国、ロシアを含むこの東アジアは、このように新しい時代の渦が渦巻いていますが、この新しい時代の渦を研究している最中に、この日本のリサイクルについて何か述べろという話があったわけです。

 運輸省港湾局は、リサイクル関係では、日本海沿岸地域で「リサイクルコンビナート」という新しい概念のコンビナートを研究しています。北九州港では響灘に「総合環境センター」という、環境産業を一括集中させた工業団地の建設を支援しています。したがって私も関心があるわけです。この工業団地という視点でリサイクルの話をするやり方もございますが、私はどうも世界の大きな潮流が気がかりでして、世界の大きな潮流、すなわち港湾局が最初に言いだした、大交流時代から見たら日本のリサイクルはどういう評価をされるのかという点に関心が移りまして、本日の講演会に臨んだわけでございます。

 大交流時代という大きなうねりは、日本のリサイクルの有無にかからわず進みます。したがって、日本のリサイクルもこの大交流時代の中で行われるのだという認識をして進める必要があるのではないかと思います。すると、日本のリサイクルの方向も少しは変わってくるのではないかというふうに考えています。

 私の説明は基本的には、皆様方のお手元に配ってあります資料に基づいて説明をさせていただきます。

 まず導入部として、我が国における資源循環型社会とはどういうものか、簡単に見ておきたいと思います。これは今までの講演で何度も繰り返されていると思いますが、私の話の前提になりますので若干時間をいただきたいと思います。


 今、毎日のように資源循環型社会のニュースがマスコミで、また国会で議論されてにぎわしているわけですが、我が国がこのように資源循環型社会をつくろうと言いだした動機は3つ程あるのではないかと思います。

1つは、地球資源は有限。いつかはなくなる、このことを考えて我々は消費する必要があるということです。

2つ目は、廃棄物の不適切な処理・処分が多い。人間社会や自然界に非常に悪い影響を与える可能性もある、何とかしなければいけないという思い。

3つ目は、今までは最終処分場という安価に捨てられる場所がありましたけれども、現在は最終処分の建設には大変カネがかかる。どこでもまたトラブっており、捨てる費用が次第に上昇しているということです。


この3つではないかというふうに考えています。

 このような動機はいずれも、日本人の「もったいない」という純粋素朴な気持ちが根っこにあるのではないでしょうか。また、十分使い切らないでほかしてしまうことに対しては、万物に神をみる仏教風土が牽制しているのかもしれません。そのうち廃棄物供養なるものが現れるかもしれないほど、我が国には、何もかも大切にするという精神風土がございます。これは我々の誇りですし、貴重な伝統文化というふうに考えて差し支えないと思いますが、これが現在の我々の大量生産、大量消費社会に警告を発しているのだと思います。このようなことは米国では考えられないようでございます。

 それでは、資源循環システムを図で示してみたいと思います。図1でございます。

 これは「建築事業に見る資源循環システム」ということで、資源の最初から、その施設が寿命に達するまでを書いてみたものです。自然界から資源を取り出し、そして原料を集めていく。原料を集めて建設材料を今度はつくり、そして施設を設計し、施工し、使い、そして寿命を迎えるということですが、この原料の調達の段階でも機械とか施設を使う。そして原料としては原木や石油など様々なものを使う。建設材料も同じように機械、施設も使い、様々な材料を使う、ということで流れが書いてございます。

 この各段階で不要品が出てまいります。この各段階で出てくる不要品、これを今までは中間処理もさほどせず最終処分のほうに委ねていたけれども、この不要品を中間処理のところでもう一回こちらの生産システムに戻そうというのが基本的なリサイクルではないかと考えております。

 この各段階にいろんなものが出てくる。建設業においては、単に施設を壊した時のガラが出てくるだけでなく、原料の最初の調達の段階、建設材料をつくった段階から、例えば使っている機械とか施設も含めていろんなものが出てくる。そのいろんなものを中間処理し、そして生産システムに戻すということです。

 そして中間処理の段階では、こちらから下りてきた不要品を、塗装すれば済むとか一部部品をかえれば済む、そうすればもう一回使えるというものはもう一回ここに戻そうと、これが本体リユース、本体の中古品。リユースは「中古品」という意味です。それから、本体そのものは使えないけれども部品だけは使えるといった場合には部品だけのリユース。しかし、本体も部品もいずれも使えないということであれば溶融し、そして舗装材料等に使う、加工新生という形になると思います。こういう一連の流れがあって、最後どうしても中間処理できないものは無害化し、最終処分する。こういうものが普通一般的にいわれる資源循環システムではないかと考えております。

 このリサイクル過程が、金儲けにつながるのであればリサイクルは大いに進むと考えられるわけですが、実際は余分な経費がかかるためになかなか進捗しないわけです。このため、企業の自主性に任せていたらいつまでも動かない、そのうち日本全体が大騒ぎするようになるのは目に見えていますので、法令で規制するか、強制するか、もしくは公共事業体が誘導するかの措置が必要になるということが一般的に言われているわけです。

 その場合に考えられる施策、実施すべき施策としてどんなものがあるのかを示したのが資料の 1.3です。ここには5つほど書いてございますが、一般的に言われているのは「不要品の少量化」ということで、これは当然です。できるだけゴミを出さない、それから長く使う、そして量を抑制するということです。

 2番目の「中間処理過程の技術の向上」もごくごく一般的に言われていることで、最も大事なのは、とにかく分別するということです。それから、分別にあわせて設計の段階から資源循環を頭に描いて物をつくろうということ。それから、出てきたいろいろな再生資源をうまく技術開発して利用の拡大を図っていくということです。ここまでは一般的によく言われているわけです。

 次に「周旋効率の向上」ということです。これは、リユース品として出てきたものを実際にリユースして使っていただかなければいけない、もしくは再生資源として出てきたものを使っていただかなければいけないわけですが、使う相手を見つけるという意味で「周旋」というふうに書いてあります。周旋効率の向上は極めて大事なことでして、実際はここのところがなかなかうまくやられていないということで、いろいろ問題があるのではないかと思っています。

 4番目としては「資源循環範囲の拡大」ということです。周旋というところから自然に出てくるわけですけれども、相手を見つけるというその相手が、できるだけ広い方がいい。単なる一つの会社だけにとどまらずに、できるだけ広くする。これを日本海側の一つの工業団地の中、一つの工業団地にはたくさんの企業があるわけですが、その企業の中でお互い連絡し合って、情報交換し合って、再生資源なりリユース品を使おうという試みがあるわけで、これが第一港湾建設局でやっているリサイクルコンビナートの概念です。これを日本海側の工業団地だけでなく、一気に北東アジアまで広げてしまおうというのが、今日お話しする私の考え方でございます。その場合に様々な課題なり問題が出てきますので、それを後ほどお話し申し上げたいと考えております。

 それから、5番目として「地球規模で考える」ということです。先般の朝日新聞には、「リサイクルもいいけれど、リサイクルするとたくさんのエネルギーを消費してしまって、エネルギーの観点からはリサイクルしない方がいいものもたくさんある」という記事が載っていました。これが事実なら、まさにそういう視点も忘れてはいけない。また、リサイクルと言っていますが、すべてのものについてリサイクルするというのもなかなか大変です。メリハリをつける必要があるのではないかというふうに考えております。


 次に、日本のリサイクルを北東アジアとの関連で述べてみたいと思います。先ほどお話ししましたように、日本のリサイクルはこれから大きな時代方向として取り組まれていくと思いますけれども、もう一つの方向として「大交流時代」があるわけです。ついては、循環型社会は大交流時代の流れの中で実現される必要があります。この大交流時代の到来の中で、日本は国境の壁を低くするという方向で世界をリードしていかなければいけないことは言うまでもないわけですが、特に北東アジアは我が国のお隣さんでございます。最も強く日本が影響を受ける地域です。ここは現在まだ緊張と貧困が存在していますが、ここを平和と繁栄の場所に形成していくために、日本のイニシアティブの発揮が強く求められているわけです。それにはまず、交易と交流を促進して北東アジアの経済発展を図ることが最も大事だというのが我々の考え方です。交易と交流が盛んになれば、現在懸案のいろいろな問題も自然に解決していくというふうに考えております。

 この我が国にとって特に重要な北東アジアは、すでに中国とロシアが市場経済社会をつくりつつあります。日本と韓国とベクトルが同じになった、そろったわけです。もうこのベクトルが後ろ向きになったり、横に逸れたりすることはないだろうと我々は考えています。また、北朝鮮も市場経済を一生懸命勉強しております。羅津・ソンボン地域にはそのための経済特別区をつくりましたし、留学生が多数、市場経済勉強のために海外に派遣されています。こういう北東アジアの潮流を眺めますと、日本の役割として、北東アジアの経済発展を促進する方向での日本のリサイクルという考え方が出てくるのではないでしょうか。北東アジアからすれば、日本の資源循環型社会への移行を円滑に進めるに資する日本との交流形態をつくり出すことだというふうに表現できます。

 このような日本のリサイクルの方向とか交流形態とは、それではいかなるものなのでしょうか。そこで、北東アジアの経済発展の方向と日本の経済社会の方向を「大交流時代」という接着剤で突き合わせて検討してみることといたします。お手元の資料の図2を見ていただきたいと思います。


 こちらの流れが北東アジアの経済発展の方向、こちらが日本の経済社会の方向です。

 まず、日本の経済社会の方向からお話し申し上げますが、高度成長前は我々は資源節約型であったというのは言うまでもないことです。その昔、ちょっと前なのですが、住宅はみな手壊しだったという話が先ほど若干あったようですが、非常に物を大切にしていた時代がありました。しかしながら高度成長期が到来して、我々は資源大量消費、大量廃棄時代に今どっぷりつかっています。しかし、これがいつまで続くという保証は全くないわけで、間違いなく資源循環型社会は到来するでしょうし、せざるを得ない。したがって、低成長時代、資源循環型社会が来るのではないか。その際には資源循環を前提にした設計、施工、それから廃棄システムと申しますか、それから積算システム等が当然形成されるだろう。

 その時に我々が考えなければいけないものは6つあると思います。1つは発生を抑制すること、それから長寿命化を図ること、リユース(中古品)をたくさん使うこと、再生資源の利用を促進すること。そして、個人ではなかなかいきません、やはりで法律・規制が必要になるでしょう。そして、先ほどお話ししましたが、周旋業の活躍ということで、リユース品や再生資源を使ってくれる人を見つけるということです。こういう方向で次第に流れていくと思います。

 他方、北東アジアの経済発展の方向はどうかということです。従来は計画経済でがんじがらめ、すべて中央がやってくれるということでしたが、1979年、中国は改革・開放の時代に入りました。すでに20年を経過しようとしています。1991年にはソビエトが崩壊し、ロシアが市場経済化をスタートさせました。現在は、まだ10年とか20年、特にロシアの場合にはまだ10年しか経過しておりません。この計画経済から市場経済への移行は、考え方やシステムをみな引っくり返すということですから大革命です。この大革命をやり遂げるには大変なエネルギーを使うわけで、我々関係者は、エネルギーを消耗しきって非常に疲れて今休んでいるというのがこの北東アジアの状況ではないかと見ています。休むのですから経済は低迷します。したがって経済低迷時代。

 しかしながら、この市場経済というところに次第に慣れてくるし、また疲労がとれれば市場経済の隆盛に向けて動きだすと思います。その時の基本的な政策ですが、それは現在の中国南部において見られている経済繁栄方式、すなわち国際貿易の振興を活用したものになるだろうと私は考えています。この国際貿易の振興といった時に一番かかわりが深いのは、何と言っても近隣国です。近隣国の中でも、市場経済の先輩であり巨大市場経済を有している日本および韓国ということになります。そことの経済交流がロシア極東部、それから中国のこれからの経済成長を左右するといっても過言ではないと思います。


 では、その時にどのような形で経済発展が遂げられていくのか。それがここに書いてあります。私たちは、核になる事業としては3つあるだろうと見ています。

 1つは「資源、エネルギー開発」でございます。これは、特に極東ロシア、シベリアには莫大な資源がございます。林業資源、森林資源、水産資源、エネルギー資源等々です。これが掘り出され活用されれば、経済成長に向けて大きく飛躍する。

 次に「ランドブリッジ機能の発展」と書いてありますが、極東ロシアのウラジオストクはヨーロッパに向けてのシベリア鉄道が来ている地域です。この極東と欧州とを結ぶ鉄道は、現在の南回りのコンテナ物流、これが全部で 650万TEUという莫大な量あるわけですが、これの一部でもこの鉄道を使ってヨーロッパに運ばれ、もくしは日本に戻ってくるということになりますと、このシベリアランドブリッジの外貨収入は莫大なものになります。これが、北東アジアにとっては大きな発展のきっかけを与えると考えております。

 3番目は「黒龍江省、吉林省の『出海』」と書いてありますが、北東アジアの要部分は中国東北二省の黒龍江省と吉林省です。この黒龍江省と吉林省を合わせて 6,500万人ぐらいの人口がいますが、ここの莫大な人口が現在、海に出るルートはたった1つ、ハルピン〜大連ルートしかありません。ここが実は大変なネックになっており、国際貿易をしようにも物がなかなか運べない。積み残しをせざるを得ないとか、様々な輸送上の問題が出てきています。これを一気に打開するのが黒龍江省と吉林省が日本海に抜けるルートをつくることですが、この事業が着々と進んでいます。したがって、これができると 6,500万人の人口が市場経済に向けて、また国際貿易に向けて海の出口を持つということですから、これは相当に大きな効果がある。しかも、北東アジアのど真ん中にこの 6,500万人がいますので、ここが経済発展すれば北東アジアは全体が大きく経済飛躍するだろうと見ております。


 この北東アジアの経済発展の方向と日本の経済社会の方向が、今まではかなりお互い離れた形で進んでいました。しかし、大交流時代がスタートして、この大交流時代でお互いが接近してくるということです。この接近がこの部分です。ここが非常に狭くなる。この、お互いがずっと擦り寄ってくるというところがミソでございます。もしそうならなければ日本はある意味で大変な安全保障上の問題も出てくるわけですから、そうなるだろう、間違いなくそうしなければいけないという論理です。そうなれば、北東アジアを視野に入れて我々は日本のリサイクルを考えてもいいのではないか。日本のリサイクルだけではありませんが、いろいろなことについて北東アジアを念頭に置き、視野に入れて考えていくべきではないか、というのがこの図の言いたいところでございます。


 次に、それではもう少しそこの部分を詳しくということで、図3に北東アジアの発展のシナリオをお示ししてあります。これが、北東アジアがこれからどういう形で経済を浮揚させていくか、その時に日本のリサイクルするものの立場としてどのように関わっていくのかということを書いたものです。私は昨年、北東アジアの北から南、西から東と非常に広い範囲にわたって調査する機会がありましたので、それの経験、それから現地の人たちの主張等を盛り込んでこういうものを作ってみたわけです。

 まず、北東アジアの発展のシナリオから少しお話ししたいと思います。現在どういう状況にあるのかと申しますと、現在はまさに開拓者時代です。西部劇のドラマに出てくるような人たちがたくさん、シベリア辺りの方に行くと出てまいります。大森林があり、川があり、堤防も何もありません。昔のまま、自然のままです。そこには開拓者の人が見すぼらしい家に住んでいるわけです。彼らの素朴な顔は、我々にこう言っているように思います。見てくれ、土地はいくらでもある、川もある、資源もある、掘れば石炭は出てくる、問題はそれを掘り起こすツールがないんだということです。ですから、そこに建設機械1台与えたり農業機械1台与えたら、彼らは面白いほどたくさんつくれると思います。現にロシアにはバザール(中古品売場)というのがかなりの所にありますが、そこでは生活上の中古品がいっぱい売られています。しかし、そこには大きな機械はないわけです。シャベルとか電気機械の部品などもありますけれども、大きなものはない。大きな機械、自動車とか建設機械があればいいなあ、これは非常に生産効率を上げられるなという感じがいたしますし、彼らの顔もそのように言っていると思います。

 そういう段階ですが、次第にシベリアもしくは中国は経済発展をしていきます。その時には必ず「富の蓄積」というのが必要なわけです。先ほど資源とシベリアランドブリッジ、それと出海の3つが大事だと申し上げましたが、とりあえず当面、まず富の蓄積を果たすものは何かと申しますと、1つは木材・森林資源です。地域の産業を大量な産出量でつくり出していくものをSTAPLEと言うのですが、そのステープルとして機能するのは当面は木材です。そして、次がシベリアランドブリッジの外貨収入です。この2つが最も可能性がある。

 木材資源がステープルとして機能するためには、とにかく大量に伐採しては売らなければいけない、伐採しては売らなければいけない。ところが、伐採現場はどんどん奥地に行っています。この森林資源量は莫大です。1年間で現在とっている量の 300倍とか 400倍が開発可能量です。ですから開発可能量以外にまだたくさんあるわけですから、その森林資源量などは問題ないのですが、問題は道路がないことです。森林資源道路、要するに木材をかり出す道路がない。したがって、木材を売って儲けた金はみな道路建設に使われるでしょう。

 それから、シベリアランドブリッジはどうかと申しますと、要するにヨーロッパまでのコンテナ輸送で儲けた外貨をどこに使うか。これもシベリア鉄道の整備・施設の改善に使われると一般的に言われています。すなわち、これも建設事業なんです。すなわち、ここでいよいよ建設の時代が始まるわけです。「富の蓄積」から、次は「建設の時代」に移ります。この建設の時代が、実は北東アジアにとっては非常に有効であるというのを昨年1月、アメリカのノーベル賞学者が日本で言ったのです。我々日本はすでにこれを実践していますからよく知っているわけですが、ノーベル賞学者が言ったというところがミソでございます。すなわち建設投資をすれば、1つは雇用の増加。現在失業者がたくさんいますが、それが雇用される。それから、地域産業の国際競争力が強化される。それから、地域産業の発展のための乗数効果が建設事業の実施で出てくるということです。


 このようなことがあって、様々な産業が勃興してくるだろうと思われます。併せて、その際、交流基盤の整備ということで国際輸送路の整備等が進むと思います。国際輸送路の整備が進まなければ、日本とか韓国から企業がなかなか行きませんので、そういうところまで建設事業が進捗していくと考えられます。ですから、ますます建設の時代に入っていくというふうに考えられます。その際はパイプライン等も大いに敷設されていくでしょう。

 そして成長時代を迎える。日本の高度成長の向こうを張った成長時代を迎えるだろう。そうすれば大量の需要が発生する。大量の需要が発生すれば、これはいよいよ外国資本の出馬の時期です。その時に、外国企業が来るようになれば国際分業だということになりますし、資源の開発もさらに進む。その際、彼らがしきりに我々に言っていたのは、「我々は一次産品だけの輸出は嫌だ。付加価値をつけて加工して出したい」と強く言っています。あげくの果ては、水産資源も養殖して出すんだというぐらいのことも言っています。ですから彼らの気持ちは、今は木材資源を原木のまま出していますが、早く製材化して、もくしは家具みたいにして出したいということを言っています。

 そのようにして国際水平分業が進むようになれば、日本海は交流の海。日本と韓国、そして対岸との間は交流の海になるでしょう。そこが最も日本が待ち望んでいる北東アジアの状況です。そうすれば、環日本海経済圏というものがここで確立するだろう。その時は日本海は平和の海です。しかしながらここで大事なのは、日本だけの海ではないということです。ほかの国もたくさん関わっている、みんなで日本海をより良くしようという話に必ずなる。環境を守ろうという話に必ずなる。そういう時代が来るだろうと思います。それが北東アジアの我々が考えているシナリオでございます。

 そういうシナリオに沿って、では、日本のリサイクルはどう関わっていくのかということです。これには3つの段階があるというふうに考えています。


 第一段階は、現在は開拓者の時代です。そして、間もなく建設の時代に入ります。この北東アジアの状況に日本ができるだけ支援していかなければならないし、支援できる方向で様々な施策を講じていってほしいというのが我々の気持ちです。

 建設機械の需要、自動車の需要、農業機械の需要、これは膨大なものです。しかしながら日本の高い新品の機械は買えません。彼らがどのくらい貧しいかについては後でお話ししますけれども、とてもそういうものは買えない。したがって、どうしても中古品でいいんです。中古品でいいんですというのは私が言っているのではない、彼らが言っているのです。中古品を欲しい、その機械があるかないかで全然違うということを言っています。現に実績もございまして、例えばウラジオに行きますと至るところに日本の中古自動車が走っていますけれども、その辺のロシアの対応については後でお話しします。

 したがって、この中古をリユースしたものを北東アジアにスムーズに持っていけるかどうかが非常にポイントです。そのためには、何と言っても日本の国内にリユース市場がなければダメです。日本の国内にリユース市場があって、我々がリユースを平気で使える、売買できる、それを北東アジアに拡張するという仕組みでなければ、これは受け入れられないという話に必ずなります。また、それほど売れない。逆に日本から見れば、北東アジアという地域には先ほど言いました約1億人がいるわけです、その人たちがリユースという非常に強い市場を形成して需要を持っていますから、そこに広げるにあたって日本の国内でのシステムを持っていく。そうすれば向こうも喜んで受け入れてくれるだろうと思います。

 第二段階は、先ほどお話ししましたが、北東アジアの人たちは今は一次産品という形で輸出していますが、この第一次産品は、彼らにとっては大事な金儲けの手段が金儲けにならずに日本、韓国に行くということを意味しています。彼らは加工して出したいのです。強く望んでいます。したがって、加工機械などの需要は非常にあります。そういう時代がそのうち来る。

 片一方、日本の方も、例えば日本の国内で資源循環型社会が進むようになり、発生抑制をしようということになる。例えば木材なども日本は、1997年通関統計によりますと 500万トンという巨大な原木を北洋材として輸入しておりますが、これは大変な量です。この原木を現地でできるだけ加工して持ってくれば、その分だけ日本も負担が少なくなるし、日本にとっても得だという話に必ずなる。それから食料もそうです。日本は食料品産業の廃棄物量は年間 850万トンという莫大な量です。これも物は考えようで、現地でほとんど加工してしまうというふうにすれば、ほとんど出てこない。現に向こうはそれを願っているわけです。中国には大変な量の大豆があります。向こうで味噌も醤油も豆腐も作れるんです。それを持ってくればいい。モンゴルには食肉、ミルクがあります。そういう酪農製品、牧畜製品は向こうで加工して持ってくれば非常に楽になります。これは当然、何でも程度というものがありますけれども、向こうの方もそれを願っているし、日本の方も願うような時代が来つつある。両者が合えばそういうことになっていくのではないか。となれば、日本からどんどん加工業者が向こうにシフトしていくのではないかと思います。ここで水平分業が成立していく可能性も高い。

 第三段階としては、先ほど話をしましたように、北東アジアは次第に豊かになっていきます。中国の南の方はもう非常に豊かです。それがどんどん沿海部から北の方に上がってきています。大連の辺りもかなり豊かになっています。そのうち中国東北二省も豊かになっていくだろうと。その時に、日本海は様々な国が面しているわけですが、この日本海の環境を良くしようという話になるだろうと思います。その際、日本の先進的なリサイクルシステムが大いに活用されるようになるのではないか。響灘で行われている環境産業の一括的な立地、あそこでは今さまざまな技術開発や実施事業が行われていますけれども、そこでの経験とかノウハウは必ずや北東アジアに輸出される。北東アジアにとって非常に貴重なものになるだろうと思います。例えば響灘の総合環境センターなるものが、日本海の中に2つ3つ4つつくられる可能性もあるというふうに私は見ています。

 そういう意味で、第一段階、第二段階、第三段階という3つの段階があるのではないかと思います。これらはいずれも、日本からの廃棄物を向こうに持っていくという考え方ではございません。これは向こうも日本もお互い裨益し、物を節約して使う、非常に大事なフィロソフィーからきているものです。

 このように、北東アジアの経済発展に向けての日本のリサイクルの関わり方は3段階あると思いますけれども、当面、最も重要なのは第一段階です。そこで、第一段階を効果的に実施していくための検討を次に示したいと思います。

 資料 3.2を見ていただきたいと思います。北東アジアと日本のリサイクルとの接続、この部分が一番大事なのですが、ここを密にするための方法は、何と言っても大前提は日本国内における中古市場の発展です。まず日本国内で整備された中古市場が、その次にその商圏を北東アジアまで広げるという方法でないと、北東アジアへの支援という形にはならないのではないかと思います。北東アジアへの商圏拡大にあたっては、かなり様々な施設が必要になります。

 まず、情報受発信施設です。ここにリユース品があるよ、だれか受け取りませんか、という単なる斡旋の話だけですが、これは非常に大事です。これは、インターネットや大陸の周旋業者を活用して中古品購入者の発掘をする施設でございます。次に、中古品がどのくらい寿命を有するのかを評価する。と共に、それらを展示し、デモンストレーションを行う場所が必要になります。また、保管し、輸送し、メンテする施設も必要です。さらに、機械の操作や修理などを教える研修センターも必要になります。このような多彩な機能を有するリユースパーク、もしくはリサイクルパークが必要になると考えています。このリユースパークが、当面は日本海沿岸港湾に1つ欲しいなあと思っている次第でございます。その後は対岸港湾に設置される必要があります。

 このリユース市場について北東アジア諸国はどのようにとらえているのでしょうか。極東ロシアについて、昨年、このリユースについて地域の企業、関係機関、行政がどう考えているかをアンケートもしくは調査した資料があります。それをここでご紹介申し上げたいと思います。4の「極東ロシアの考え方」というところです。

 この調査は、ロシアの沿海州とハバロフスク州。ここは極東ロシアの人口、産業の大中心地、極東ロシアの大部分があると思っていいです。この沿海州、ハバロフスク州の行政、企業、関係機関はいずれも総論賛成でした。その理由として、日本の中古車の普及度が極めて高いということです。現地に行くとお分かりですが、日本の東京に来たのではないかと思ったぐらい、日本語の自動車が多数走っています。それに伴い、日本の中古車、建設機械への高い信頼性があるということで、日本の中古機械は非常に高い信頼性を有しています。また、経済事情から中古品へのニーズが高い。非常に所得が低いので、これは大きな理由です。もう1つ大きな理由は、中古品の使用に偏見がないことが挙げられます。バザールを見ていても、中古品について躊躇するといいますか、そういうようなことは我々も感じませんでした。この中古品への偏見のなさについては、我々はロシア人に学ぶべきではないかと思います。考えてみれば、いかなるものであれ自分が所有した途端、中古品になるんです。だれでもが中古品を使っているとも言えるわけです。しかも、使っている間に通常は愛着がわきます。したがって乱暴な使い方はしません。中古品でも良い品物が多数あるというふうに私も考えます。したがって、中古品の利用を積極的に考えるロシア人については、我々も学ぶべきではないかと思います。

 極東ロシアが日本の中古品を輸入するにあたっての問題点が4の表に書いてございますが、これは後ほど一括してお話ししますので、ここでは飛びます。


 それでは、最も需要が多い中古の機械は何か。それは建設機械です。これは現地の人もやはりそう言っていました。我々の推測通りです。これは、まさにシベリアが開拓時代にあるからでございます。

 以上から分かることは、最も大切なことは、日本の国内の市場整備にあるというふうに考えています。

 5に入りますが、次に日本国内の中古市場の現状を報告したいと思います。先ほどの資料と同じ資料からの引用ですけれども、現時点で日本からの輸出が有望な分野としては、商用車、オートバイ、ブルドーザー、パワーショベル、木材加工機械、工作機械などが挙げられています。これらを選択した基準は、日本の国内で中古製品の発生・流通が量的にあること。それから、北東アジアにおける需要と日本側の出したいという必要性がある。両方に理由があるということです。

 一方、国内で中古市場が確立していない分野のものは何があるか。これはコンピュータ、複写機、印刷機、食品加工機があります。これらはなぜ中古市場が確立していないかという理由は、お手元の資料に書いておきましたけれども、1つは、大量生産された汎用製品でない。これは多分に食品加工機などのことだと思います。それから、メーカーが下取りしても再販せずに処分しているため。これは複写機とかデジタル印刷機ではないかと思います。それから、中古製品としての魅力がないため。これはコンピュータです。それから、ユーザーに新製品の方が好まれるため。これもコンピュータではないかと思います。要するにメーカーサイドに中古品を販売した方がいいとか、販売しなければならないというインセンティブがない、それが一番大きいと思います。

 ところが、建設機械のほうはインセンティブがあるのです。これはコマツというところの話ですが、建設機械の新しいものを建設業者に買ってもらうためには中古品を下取りでもらわなければいけない。そうすると、コンピュータメーカーなどはそのままつぶしてしまうのでしょうけれども、日本の建設機械メーカーはできるだけ中古機械を輸出機械の方向に向けてさばくということで、そういうインセンティブがある。コンピュータ等はそういうインセンティブがないということだと思います。

 次に、日本からの中古製品の輸出にあたっての問題点として最も大きいのは何か。そこにいくつか書いてありますが、やはりファイナンスです。中古製品ですとファイナンスがないということで、向こうは一時的に現金で買うというのがなかなか難しい。向こう側は必ず、リースでいいかという話をしてまいります。

 この中で5番目に「中古製品の輸入禁止国がある」と書いてありますが、これは中国のことです。以前、中国は中古品を輸入していましたが、3年前に禁止措置がとられました。理由はいろいろ調べてみたいのですが、よく分かりません。向こうの新しい製品の市場を圧迫しているとかいう理由も考えられますけれども、もっと違う理由のようです。では、禁止されたからもう全然輸出されていないのかというと、それが全然違うんです。やはり、やみで入っているようです。中国の人と話すと、非常に機械が欲しいという話をよくいたします。ただ、そういう機械も向こうの政府の輸入許可を取らなければいけないのですが、現実には大量にとにかく中古機械が入っているという情報があります。


 次に 5.2で、北東アジアで最も需要が高いといわれている建設機械の中古市場の状況を見てみたいと思います。真ん中に「中古市場の概況」と書いてありますが、中古潜在台数は 130万台という大変な量が潜在しているということです。年間の中古発生量は、ショベル関係で約7万台ございます。このうち、油圧ショベルで2万台、ミニショベルで 4,000台がほとんど東南アジアに輸出されています。したがって、建設機械のほうは東南アジア向けに大量の輸出がなされているということが言えると思います。

 また、7ページの一番下もしくは8ページの頭に通関統計を載せてございます。この通関統計を見ますと、建設機械はロシア向けには毎年 400〜 500台出ている。これは新品だけでなく中古も当然含まれていますので、その程度のものが出ているということです。


 次は 5.3で、我々港湾関係者に関係がある機械についてちょっとお話し申し上げたいと思います。ザルビノ港と威海港の2つが、最近私の関連で中古機械の話が出てまいりましたのでお話し申し上げます。

 ザルビノ港というのは、まさに新潟の対岸の小さいロシアの港です。そこがガントリクレーンを持ちたいということで、日本政府に、ぜひガントリクレーンの資金供与もしくは援助をしてくれと言ってきていますが、まだ実現しておりません。向こうの人は中古でいいと言っています。中古だといくらかな、まあ5億円ぐらいだなというので、 5,000万ドル程度で今彼らは考えていますけれども、先般、日本のある埠頭会社にいろいろヒアリングをしましたところ(7ページの真ん中辺りの「供給」というところに出ています)、なんと、ガントリクレーンはこの後1〜2年の間に中古のものが4つも出てきてタダだというのです。無料だということです。しかし引き取り手は、まずそれを外すことから、それから輸送し、そして再度設置するというのは全部自分で持ちなさい、ただし、お金は要りませんということでした。そうなると、1〜2億円かかると思いますけれども、5億円なんてかからないのではないか。要するにそういうようなことでした。こんなのはまさに供給と需要が合う。ただし、埠頭会社のほうにはザルビノ港でそういう話があるという話は全然いっていませんので、どうしてもその周旋業が必要なんです。


 それから、威海港というのは中国の港です。中国の港のほうは、タグボートでもいい、ガントリクレーンでも何でもいい、とにかく中古機械いっぱい欲しいんだという話でした。ものすごい勢いでコンテナ取扱量とか貨物の取扱量を増やしていますから、機械、ボートが欲しい。みんな入札制度でやると言っていましたけれども、非常に高い需要がございます。

 先ほど日本の中古自動車が大量にシベリアに出回っているという話をしましたが、8ページの 6.2に「中古自動車の輸出」と書いてございます。北東アジア向けの中古自動車について簡単にお話し申し上げておきたいと思います。

 日本の中古自動車は、大量に北東アジアで見受けられます。多い時は極東ロシアへ年間15万台渡ったという情報もあります。ですが、我々の昨年の現地調査で判明したのは、地方港であるザルビノ港で年間1万台から1万 2,000台揚がっている。これはまず間違いないと思います。もう1つ、北朝鮮に羅津港という港があります。ここは北朝鮮の市場経済化に向けての取り組みの一つとして、自由経済市場というか経済貿易特区、要するに関税がかからない、税金がかからないという場所になっています。この羅津から吉林省の長春、吉林、延辺に向けて、要するに中国に向けて大変な量の貨物が流れていますが、釜山から羅津に向けても1万台程度自動車が流れています。最近は羅津と新潟が結ばれました。新潟〜羅津、月に1回という僅かな航路頻度ですが、この新潟から積み込まれる貨物も中古自動車が大半です。ですから、中古自動車に対する需要は非常に強い。15万台という話は決して大きすぎるという話ではないと思いますが、ただ片一方、日本の通関統計を見ますと、1996年の統計でも2万台ぐらいしか出ておりません。ロシア向けの統計ですが、これは、日本で5万円以下で買いますと携送品扱いになって自動車として記録されないということのようです。また、面白いことには、ロシアの場合は日本で5万円以下の場合には税金がタダ、関税がゼロだということです。新車で持っていくと 100%かかりますから、5万円以下の自動車にして海を渡る。したがって、実際に統計ではなかなか把握、補足できないということのようです。


 しかし、これも1998年8月以前までの話でして、1998年8月のロシアの一方的なデフォルト宣言、債務不履行、債務はちょっと延期してくれといった話によって、なんとロシアはルーブル価値が5分の1まで下がってしまった。そのためにロシア国産車「ラーダ」が非常に競争力を増しまして、今はラーダ車がよく売れているということです。ちなみに韓国車は今1万ドル程度ですが、ラーダ車は 3,000ドルぐらいだということで、ルーブルの価値が下がったことでロシアの国内産業が復活したということです。

 次に 6.3に「中古農業機械の輸出」と書いてございますが、農業機械も日本からかなり輸出されています。全体の実績は分かりませんが、酒田市が非常に熱心に中古農業機械の輸出を努力されていますので、その資料をもらってまいりました。ここに書いてある通りですが、 7,000万円とか 5,000万円とか、毎年そういう量を輸出しているということです。ただし、中古農業機械も中国輸入許可制限品目につき、荷受け側で輸入許可証の取得が必要であるということです。

 以上、日本の中古品市場について見てまいりましたけれども、中古品市場の母体となる国内製品の平均寿命について少し調べてみましたので、それをご報告したいと思います。別紙1、10ページに「建築物の平均寿命」というのが載っており、ここにヨーロッパとの比較も出ております。これは政府の委員会のレポートからコピーしてきたものですので、わりかし権威があると思うのですが、なんと日本の住宅寿命は30年だということです。上の方を見ると、もう少し長く書いてありますが、この棒グラフから見ると30年だということです。ヨーロッパのほうは80年から 140年ですから、これは極端です。日本がいくら豊かといっても、このような分野で決定的に遅れているなあという感じがいたします。しかも、30年ですと、高度成長時代にたくさん建てられた建物が2005年には30年を迎えるわけですから、大量にこれから廃棄処分が行われるというふうに考えられます。そうしますと中古品もたくさん出てくるのではないかと思います。中古品はぜひ日本の国内で流通させ、その一部は北東アジアにぜひ回していただきたいと思います。まず国内市場の整備から、というのが私のお願いでございます。


 次に、自動車について見てみたいと思います。 5.5に「我が国自動車の平均年齢、平均寿命」と書いてございますが、特に寿命の方が問題です。日本の乗用車、貨物車ごとに書いてありますけれども、1975年時点では乗用車の平均寿命はわずか6.75年でした。貨物車が 6.3年ということです。これが昨年1999年では9.63年と9.84年ですから3年近く上昇しまして、少しはよくなったと思うわけですが、約10年で10万キロ、1年で1万キロ走って寿命を終えるということのようです。この10万キロを超えてからロシアで走り出すようですので、実際は10万キロ以上走れるのではないかと思いますけれども、日本の車の平均寿命は約9年から10年ということです。これがいいのか悪いのか私は判断できませんが、住宅などからみると、住宅と同じようにヨーロッパのほうはこれの2倍か3倍使っているのかなあという気もしないでもありません。この辺は全く無責任で申し訳ございません。

 あと、若干の時間をいただいて、北東アジアのことをもう少しお話ししておきたいと思います。


 日本のお隣さんですが、日本人の北東アジアについての知識は非常に乏しいものがあるのではないかと我々は思っています。隣の朝鮮半島だけで約 6,000万から 7,000万の人が住んでいます。それから、中国東北部(黒龍江省、吉林省、遼寧省の3つを含めて中国東北三省と申します)は約1億人住んでいます。それから、ロシア・シベリア(極東ロシアと申します)は約 700万から 800万人住んでいます。モンゴルに行きますと極端に人口が減り、 250万人ぐらいということです。

 それで、ここに1人当たりGDPと書いてございますけれども、「居住環境の環境汚染度は1人当たりの所得と非常に強い相関がある」というのが国連のレポートに書いてあります。 1,500ドルから1万 5,000ドル、10倍まで上がると環境汚染の95%が改善されるということです。皆さんのお手元に書いておきましたが、これは国連のレポートです。ところが、ここは 1.500ドルにまで至っていない国々だらけです。日本だけ特別で、3万ドルもしくは3万 6,000ドルと言われています。韓国ももう 6,900ドルあります。しかしながら、ロシアで 1,890ドル。実際は国連レポートだと 2,000ドルと言っていますけれども、きりきり 1,500ドルにほとんど近い。中国東北三省が 938ドル。いずれにしても 1,500ドルから 1,000ドル程度。この程度ですと環境汚染が相当ひどいということです。とにかく経済を浮揚させ個人所得を上げる、それが環境汚染に対する最善の薬であるというふうに一般的に考えられているわけです。こう見ますと、とにかく非常に貧乏。モンゴルとなりますと 436ドルと非常に低いということです。


 では、北東アジアの状況が今どうなっているか簡単にお話し申し上げますと、これから北東アジアが国際貿易をしていき、そして経済を浮揚させていくというシナリオが考えられますが、その場合に我々にとって関心があるのは、国際貿易をするためには国際輸送路が必要だと。国際輸送路がどの程度整備されているのか、それを調べようという気持ちが非常に強いわけです。したがって、その国際輸送路なるものを「貿易回廊」と名づけまして、貿易回廊は現在どうなっているかというので昨年調査しましたところ、ここに7つ書いてあるうち、3と4はまだ十分に機能しておりませんが、そのほかのものは大体機能しているということです。

 この1番が、シベリア横断鉄道、シベリア鉄道と言われているもの、もしくはシベリアランドブリッジと言われているものです。これが先ほどお話ししましたように、日本とヨーロッパとの間をつなぐコンテナ輸送ルートとして今後大いに期待できるというものです。多くの問題点を抱えていますが、ソビエト時代には12万TEU運んだものが、現在わずか 7,000TEU、7%も運んでいないということです。しかし、それがもう一回復活すれば大変な外貨収入につながるのではないかと期待しています。

 2番目が、シベリアの下端ぐらいを通過していく鉄道で「BAM鉄道」と申します。ここは壮大なプロジェクトが現に今なされています。オーストラリアでボーキサイトが採れますが、これを加工してアルミナ(真っ白い粉)にして、これをなんとオーストラリアからワニノ(ワニノ港)まで持ってきて、そこからずっと鉄道に乗せて、この辺りにブラーツクという大水力発電所がございます、そこで電気分解してアルミニウムをつくる。アルミニウムインゴットをつくり、また戻ってきて、そして日本に来るわけです。日本の至るところの港で見られるアルミニウムインゴットは、なんとこのシベリアでできているんです。原料はオーストラリアです。ですから大変な物の動きがある。これ一つとっても、北東アジアは何となくやりそうだなという感じがしてくるのではないと思います。

 あと、ここがモンゴルと太平洋といいますか、海とをつなぐルートです。これが中央アジアに向けるルートです。これらはみな機能しておりますが、輸送量そのものは非常に少ない。

 しかしながら、今後最も我々が注目を払わなければいけないのは3と4のルートです。これは先ほどお話ししましたとおり、黒龍江省と吉林省の人口 6,500万人の人たちが現在はこの5番目のルートでしか外に出れないのですが、ここが完全に満杯状態。韓国のソウル・釜山では今、新幹線の建設が行われています。それは完全にパンク状態だからです。ここが旅客鉄道でもうパンク状態です。したがって今、急がれています。その輸送密度と同じものが5番目のルートです。しかも、それは貨物列車でもう満杯です。旅客列車も入っていますが、ほとんど貨物列車です。中国の鉄道輸送量というのは膨大なものがあります。容量、取扱量からいっても莫大ですが、その取扱量が飽和ギリギリもしくは飽和点を超えているという状況がここです。したがって、ここの人たちは今この3と4に延びようとしています。


 3のところが黒龍江省。黒龍江省は日本海側出口を持つとウラジオストクにぶつかります。ウラジオストクがこれから黒龍江省の出口になります。したがって、ウラジオストクは欧州のシベリアランドブリッジと黒龍江省の 3,500万人の人たちの出口と一緒になりますので、これから大いにここの可能性が期待できます。

 吉林省は4番ですが、この4番は北朝鮮の羅津という港が出口になります。もしくはポシェット、ザルビノといいまして、ロシアの小さい港が出口になります。多分、羅津の方が可能性は大きいのですが。

 そうすると、この辺りは黒龍江省、吉林省の海の出口で今後大変な交流が起こってくるだろうと考えられます。実は、ここはロシア、中国、北朝鮮の国境が集中している所です。ですから、ある意味では最も投資効率の悪い、リスク的には大きい所です。しかし、ここが日本海への窓口として機能しないと黒龍江省も吉林省も困ってしまう。これから豊かになれない。ですから、そちらの方をより重要視しますと、ここは中国もロシアも北朝鮮も平和にしようという思惑が働いてきます。ここが平和になればここが豊かになる、ここが豊かになればこの辺り全体が豊かになると考えています。その時、最も彼らが期待しているのは、この横にいる日本です。日本とここは、ほんとに僅か 900キロしかありません。したがって日本からの支援を、もしくは会社がこちらに来て稼動してほしいと期待しているわけですが、彼らは、カネを持ってくるかリユースする、要するに中古機械を持ってくるか、そういうもので期待したいということを申しているわけです。


 最後ですが、今述べた貿易回廊の7本は国際輸送路としてそれなりに機能しつつありますけれども、やはり我々の目から見ると欠点も非常に多い。彼らもこれからもしそういう意味でお金が入れば、もしくは銀行から金でも借りられれば、ぜひ直したいという緊急整備事業をここに書いておきました。これは大部分が土木事業です。北東アジアはこれから建設の時代に入ります。建設の時代に必要なのは何か。それは技術であり、お金であり、そして中古機械だと思います。そういう意味で、北東アジアは大いに期待をもって日本を見ておりますので、日本としても北東アジアに無関心な状態ではなく、今後大いに友好関係、交流を深めていかなければいけないというふうに思っています。

 以上でございます。ありがとうございました。



〔 質疑応答 〕


○質問 非常に興味深いお話、どうもありがとうございました。北東アジアの物流が一番重要だと思うのですが、例えば船を使って川を上るとか、そういう川の調査はおやりになったのでしょうか。


○三橋 まず建設時代に入る。建設時代に入って最初に手がける建設の対象は、間違いなく交通基盤だろうと思います。交通基盤は、橋をつくったり、道路を広げたり、舗装したりという基本的なところが抜けています。それと併せて船のほうの話ですが、例えば川ですと、中国・黒龍江省からロシア、ハルピンに抜けて、それからずっと北へ上がってオホーツク海に出るアムール川というのがございますが、このアムール川は当然、舟運が非常に盛んです。ですから中国とロシアの間も、それからロシアの中だけでも、平底船といいますか、底の浅い船がモーターボートをつけてたくさん走っています。

 あと、日本海のほうはちょっと今日触れませんでしたけれども、大陸のほうは、先ほど述べました貿易回廊はひとつ致命的な欠点があります。大陸は内陸奥まで物を運ぶためには鉄道を使うしかありません。しかし、鉄道は国境のところで不連続でして、鉄道ゲージが違うためにみんなそこで積み替えなければいけない。積み替えるたびに荷傷み、盗難、時間がかかるとか、非常に経費がかかるとか、大変な問題がありますけれども、これを克服しなければいけない。克服する方策としていくつかあるのですが、1つがトラック輸送に振り替えてしまえばいいということ。もう1つは、できるだけコンテナリゼーションを促進させること。コンテナ化すれば積み替えも容易だという意味で言ったわけですが。

 そうなりますと、北東アジアのこれから輸送を担うものとして鉄道とトラックがありますが、トラックが非常に強くなるのではないかと思います。トラックが強くなれば、これは実は日本の国内も……(テープ替え)

 しかし、奥の方はトラックではどうしてもダメです。日本の業者は、中国ではすでに 500キロを超えて 1,000キロまでトラックで運ぼうとしています。やはり鉄道はいろいろ問題があって難しいと言っていました。でも、ユーラシア大陸は 1,000キロを超えてまだずっと続いているんです。したがってそういうのは鉄道になりますが、経済の発展は最初は沿岸部から始まってくるだろうとだれもが思うし、そうでしょう。となると、やはりトラックです。沿岸部にすでに国境線があって、そこを超えるのに一々積み替えたりしていたら大変です。ですからトラック。現に、トラックの相互乗り入れが中国とロシアで始まっています。日本と韓国でももう始まっています。日本と韓国の関釜フェリーでは日本のトラックが釜山の中を走っています。それから中国とロシアもお互い走っています。全部ある条件つきですけれども。そういうことで、次第に国境を超えてトラック輸送が出てきている。日本の国内トラック、韓国の国内トラック、対岸もトラック、そして相互乗り入れもできてくる。となると答えは、日本海を渡る輸送モード、輸送機関は国際カーフェリーです。カーフェリーが今後大いに出てくるだろうということは推察できます。

 ちなみに、北ヨーロッパのバルト海、それからバルト海を越えての北海、あの辺りはもうカーフェリー輸送がメインです。ヘルシンキでは、コンテナもしくはコンテナライズされた、もしくはユニタイズされた貨物のヘルシンキ港での一般貨物(ゼネラルカーゴ)の取扱量は 800万トンありますが、そのうちの75%は、コンテナ専用船のLOLOではなくてカーフェリーです。したがって、日本もカーフェリー時代が来るのではないかと思っています。カーフェリー時代になればまさに、人も運びますので、物だけでなく人も運ぶ国際交流の海“日本海”が出てくるのではないかと思います。


○質問 ロシアは大統領が代わりましたが、代わった後の影響というのは何かあるのでしょうか。


○三橋 私はそちらの方をあまり深く勉強しているわけではありませんが、私がお付き合いさせてもらっている北東アジアの専門家の話は、何もロシアは変わらないと。エリツィンの時は大変混乱しましたけれども、今度のプーチンさんというのは、市場経済を逆戻りさせることはないだろうと言っています。ロシアに行くと、びっくりするくらい言論の自由が各人たちに行き渡っているというのを実感いたします。ロシア共産党の批判を自由に我々にやります。それから、我々が写真を撮ったり、どこそこで何か……昔なら全部チェックを受けてしまうのが、一切チェックを受けません。政治的自由というのでしょうか、それは非常に普及しています。それから、ロシア人が胸をたたいて言っているのは、ロシアの選挙は公平で行われている。そのように言っているので本当だと思うのですが、選挙さえ公平ならば必ずいつかは良くなるのではないかと見ています。プーチンさんそのものは市場経済を逆戻りさせるようなことはないし。
 中国も天安門事件で、日本の人も、中国は天安門事件でワーワーやられてもっと引き締めするのではないかと思ったけれども、全く逆に出ましたね。天安門事件以後、引き締めではなくて、改革・開放体制をさらに伸ばしたでしょう。結局、中国もロシアも市場経済で生きていこうということでもう目覚めています。中国は社会主義市場経済と言っています。これは矛盾していますが、その上に実は言葉がつくんです。これを新聞が書かないから分からないのです。「中国的特色に基づく社会主義市場経済」なんです。中国的特色というのは、要するに社会主義と言っているだけなのです。共産党独裁がなぜ必要かというと、共産党独裁でないとあの国はバラバラになってしまうからだということです。だから、もうイデオロギーではないんです。イデオロギーで言っているのではないというのが一般的な見方です。したがって、市場経済がこれからどんどん進行していけば、中国はそれに対する対応をこれからとらざるを得ないというふうに一般に言われています。


○萱嶋 後ほどの懇親会でも今のお話をまた進めてください。いま一度、三橋先生に拍手をお願いします。

(拍手)ありがとうございました。
 ただいまから15分間、4時半まで休憩に入りますので、よろしくお願いします。


休 憩