7)PCBの可搬式無公害化処理施設の開発状況
   株式会社 エイ・ツウ・ゼット 取締役 古坂寿啓  中島正人


                 

古 坂  私たちはここ4,5年ずっと,PCBを除去するための研究を続行して参りました。今日この場で発表させていただくことは非常に光栄だと思います。どうぞ宜しくお願いいたします。

 皆様もご存知のように、PCBは推定世界中に100万トンほど保有されていると言われています。ただし日本国の保持量は、だいたいこの量の5%くらいで5万トンと報じられている。ただ、ここで5万トンだとか100万トンだという数値は多分全量すなわち、その濃度が100万ppm物性のものと理解します、ところが実用的なPCB油はその殆どが希釈されて利用されており希釈PCB油の全量は膨大な数量になると考えられる。この希釈油を被処理対象物量(PCB油量)として、みると数千万トンにも及ぶものと考えられます。これらは全部有機塩素化合物でハロゲン質の毒性物です,先ほどお話になりましたダイオキシンの親戚であります。私たちは特にPCB処理だけを捉えて実際の処理仕事の研究を続けています。云われていますようにPCBの絶縁油はその大部分が高圧変圧器とか高圧コンデンサーに利用されている、それでは我々が処理しようとする被処理物とは? 主として変圧器、コンデンサー、ですがPCBの濃度は希釈されたものが多く、その他には熱媒体としての油性のもの、潤滑油、可塑剤、カーボン紙等があります、中でも自ら使用して体験したものと言えば熱媒体油ですこれは沸点が高く化学的に非常に安定したもので、利用価値の高いものでした、つまりこのように工業的に機能の高いがゆえに広範囲に利用されたものと思われます、勿論この時点ではその物性について高い毒性があるとは全く認識していませんでした、ほかにもありますねダイオキシン、フロンです、ところが1968年に「カネミ油症」問題が発生して、政府も私たちもこの問題を重大視する様になりました、余談になりますがPCBの毒性についてでありますが、自身が罹病していないので本当の危険性について今ひとつピンとくるものがありません。現実に肝機能障害、全身倦怠感とかに襲われた多くの人々が倒れました。私の友人の一人もPCB処理の研究を続けるうちにPCBの毒性に曝されて喉頭癌で亡くなりました。前述においてPCBの国内保有量を話しましたが、その保有量についてもう一つ問題の種を抱えています。それは駐留米軍が使用しているもの又は保有しているものであります、その量は定かではありませんが、相当多量であると予想されます。心配されることは沖縄の同朋がこの後、それ故に悲惨な目に遭うのではとの心配であります。沖縄米軍基地に関して今ひとつ問題があります、具体的な事例としては現在沖縄の嘉手納基地では多量のPCBを土壌に浸透されている、ということは不法に投棄された結果であります。この不法投棄PCBが池中、或いは土中に浸透して地下水合流して地下水系より海洋に流入して魚類などがこれを食し生物間の連鎖によって次第に濃縮される、たぶんこの連鎖が続行されて遂には人間の口より経口汚染されることとなる、つまりこれらのプロセスは土壌汚染から始まることとなるのであって、対象とすべきPCB処理における形態が多様化してまいります。そこで私たちはPCBの処理は現在私たちが取り組むべき再重大事であると再認識して研究開発を進めてまいりました。

回り道をしましたが今日私たちが主張する「PCBの可搬式無公害化処理施設」の技術的な発表をさせていただきます。



ご存知のようにPCBの組成はベンゼン核をブリッジでつなぎ、このベンゼン核に塩素(Cl)が5つ結合したものであります、この組成から塩素をはずすことが問題解決の主流となる作業であります、私たちの主張は高周波誘導電熱器で熱分解と水酸化ナトリュウムによるアルカリ反応によって分解処理を行うこととしています、そこで順をおって作業プロセスを説明してまいります。


(表示パネル)
PCB分解炉の中に設置しています坩堝の中に被処理物を入れ、同時に苛性ソーダーも投入します。この方法に拠ると操作結果として5倍のNaClと5倍のH2Oおよび12倍のCに分解します。要約しますとこのシステムにおいて脱塩素作業こそがメインになる操作仕事であり、次に説明してまいりたいと思います。
表示パネル(フローシート)は簡単に処理仕事を表示したものでありますが、一番右から被処理物の溶解坩堝です。この坩堝の中に対象となる被処理物である油分、金属等と同時に苛性ソーダーを投入した後に、高周波誘導加熱器のスイッチをONにします、カーボン坩堝及び投入金属体が発熱促進体となって内部の温度が瞬時?に1500℃に昇温して被処理物を分解します、つまり高温で熱分解と化学反応によるPCB分解をさせることを特徴としている処理装置であります。 これでファースト ステップは終わりました。


(表示パネル)の説明
次頁にフローを掲載します。分解炉の外周に記載しました丸印は電磁波コイルであります、その他は図上でご理解ください。このフロー図をミニチュアの実験機装置としたものを私たちは持っています、この実験機をトラックに搭載してご要望があった皆様のところで実験開示をしています、その都度の説明は実際に実験機を運転して行っております、が まさか本物のPCBを実験試料に持ち得ることは出来ません(政令によって管理保管されているPCB類は容易に持ち出せません)。それではどうしているかと言うと形態上では殆ど同じな、そしてPCBを含浸していない通常のコンデンサーを実際の試料として用いて多方面で実験開示のデモンストレーションを繰り返しています。つまりPCB化学組成の熱分解する温度で同時に試料の金属も溶融分解する、溶融分解の工程をお見せしています。
ここで一寸PCB処理に関わる他社に就いて触れてみます。先輩各社は何れもすばらしい処理方法をすでに何社かが発表しています。いくつかの例をあげてみます、荏原製作所のアルカリ触媒分解法、日本曹達の金属ナトリウム分散体法、オルガノの超臨界水酸化法、神鋼パンテックのSP法、三菱重工の水熱分解法、ゼロジャパンの真空加熱分解法など20社に余る会社とその方法が政府によって認可されています、付言しますとわが社は未だ政府の認証を受理しておりません、これら各社の装置のコストは数十億から百億円に達するといわえております、因みにこれらの装置は非常に重厚であり容易に移設,移動は出来ません。

政令では被処理物を動かしてはならないのに!?


ここで私たちの装置の場合、何処へも出前が出来る可搬性を特徴としています、つまり4t車或いは8t車に搭載して随時、随所に出張して,電力だけを頂戴して高周波誘導加熱方式にて処理をすることとしています。ただし1ヶ所における処理現場での処理量が膨大で長期間の作業日数が必要とされるような場合は設置型も準備することとしています。

論点を変えて他各社の処理技術について多少の比較をしてみます、比較を一言で表現しますと各社の場合処理物に対する多様性が少ないと言うこと、対応性が悪いと言うことである。それではいま国内に存在するPCBはどうなっているか?これは政府の政令によって管理保管をしなければならないとされており加えて、保管物とされたPCBは一切動かしてはならない等々身動きが出来ない現況にあります。


再び、操作説明に入ります、分解炉において高温(熱)状態下で分解した場合はPCBも、分解時のガスも分解するが、温度上昇時の過程(定温時、中温時)ではガス中のPCB成分が分解できずに存在します、この未分解ガスを分解塔に導き処理します、ガス分解塔(フローシート参照)、は石英管の外周に高周波発信コイルを巻設して、管内部には発熱促進体としてカーボン細管を設けて、加えてカーボン細管内に今ひとつ発熱促進体として多面積物体を挿入し、これら全体の熱損失防止対策をした状態を作り、ガス分解塔を形成します。このカーボン細管に前記未分解ガスを導入して、高周波誘導加熱器を駆動することによって坩堝の時と同様に加熱体のカーボン細管が1500℃に灼熱状態になり細管内に導かれた未分解ガスを熱分解させる。 ここでセカンドステップが終わりました。


 再び、実験機の構造に触れてみます、装置の下部に設置されている2個のキュウビック体は高周波誘導加熱器(以下加熱器と言います)の本体です、分解炉の坩堝の外周とガス分解塔の石英管の外周に巻かれている高周波発信コイルは加熱器本体より出てそれぞれの位置に巻設されて駆動時に高周波(周波数は約45万ヘルツ)を発信して発熱しています。
発信コイルは運転を継続しているとコイル全体が加熱されるのでコイル内部には冷媒として冷水を循環させてコイルの加熱を防止しています、前述まで加熱器運転では大気中であるために有酸素運転となって単純に加熱器を駆動したのでは、空気中での仕事となり酸素が入り、加熱仕事が燃焼仕事になります、その結果必然的に本来の未分解ガスに加えて余剰な燃焼ガスが発生することとなって、余分に発生したガスまでも処理をすると言ったことになります(余分と言っている理由は本来未分解ガスだけを処理すればよいのに空気が入ったために酸化燃焼ガスが多量に発生する)。
その故にこの装置では、窒素ボンベを付設しています、装置全体を密閉状態にして運転開始直前に空気を追い出しながら窒素を封入します、これでシステムの系が無酸素状態になり本来の駆動を開始します。


排ガス分解塔で分解処理された分解塔より排出されるが加熱系を通過して高温度になって次の系にながれる。排ガス浄化塔は円筒の中に活性炭を充填して浄化塔に導かれた微粉塵が混じった排ガス中の微粉塵を吸着して浄化するようにしているが、浄化塔に流入する前に冷却器で排ガスを冷却するようにしている、冷却の理由は明確である活性炭の燃焼を防ぐためである。分解塔より排出されたガスは冷却器で60℃以下に冷却して、活性炭層の中を通過して浄化され大気中に放出される。 これでサードステップが完了します。

ガス吸着した活性炭は吸着濃度の高くなった時点で活性炭を容器から回収して、前記加熱器の内部にある坩堝に投入して高温分解作業によって分解処理します。これで一連の系統におけるPCBの分解処理が完了します。


 最後に実際の現場を想定して考えられる実状を話してみます、被処理物として変圧器が出てきたとします、変圧器は部分に分けてこれを見ますと、容器は鋳造或いは鋼板製の製作物、内部にはPCBの絶縁油があり、珪藻土鋼板を積層し、それぞれの珪藻土鋼板の間には絶縁紙を挟入した鉄心が内設されています、処理に当たっては、はじめ絶縁油を抜き出し液状処理を行う、この場合の液状処理とは前に説明しました加熱器の坩堝内に絶縁油分をいれて熱分解をすることで、次には鉄心を取り出し破砕機で細分して同じく坩堝内に細分鉄分・紙片を入れて前述同様に加熱分解します。最後は本体器であるが、容器を再利用する場合もあり、或いは破砕して完全処理する場合の2通りのケースがあります。前段のケースでは始め器内に付着したPCB油分を除去するために、器内に通常油を流入させてPCBを洗浄除去しこの油分を坩堝内で高温分解して処理する、後段のケースでは容器を破砕細分して坩堝内にて高温加熱分解をさせる。
前述他社のケースでは変圧器本体を加温して、その温度に飽和な圧力つまり真空にして器内にある液状物(水分,油分)を完全に蒸発させて、器内の液体を取り出し、取り出されたPCBを含む液体はアルカリ法か何かで分解している。などの処理法もあるが完成度は不明である。

私たちの実行効果は? 手造りのコンデンサーを作って、内部に圧巻きされているロール紙に500ppm濃度のPCBを含浸させて実験器で2度3度実験を繰り返しました、結果として0.01μg/kgの分析値を得ています。


以上、皆様に私たちの研究実験結果を申し上げて私たちの成果を発表させていただきました。今後大事なことはまだまだ未処理のPCBが巷に多量に分散していることである、或いは密かに投棄されたりしている現況である。今日再びここにPCBの管理と処理の現状認識を高める必要があることを訴えるものであります。
ありがとうございました。

説明用のパネルが7枚あります。









 

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